犬に人間の食べ物を与えることはときとして危険ですが、トマトについてはご存知でしょうか?トマトは、犬にとって有害な成分が含まれている可能性があります。
しかし、適切に与えることで、犬にとっての栄養源になることもあります。本記事では、犬にトマトを与える際のポイントについて解説します。犬とトマトについて詳しく知り、健康な食生活をサポートしましょう。
目次 -INDEX-
犬にトマトをあげても大丈夫?
犬にトマトを与えることは、原則として問題ありませんが、注意点を理解しておくことが大切です。トマトに含まれる成分や、犬に与える際の注意点について解説します。
また、トマトを与えるメリットや、与え過ぎることによるデメリットについても紹介します。犬を飼っている方は、トマトを与える際に適切な量と適切な方法で与えるようにしましょう。
トマトに含まれている栄養素と犬に与える効果
トマトに含まれる栄養素が犬に与える効果について紹介します。トマトには、ビタミンCやリコピンなど、人にとっても健康に良い栄養素が豊富に含まれています。犬に与えると、免疫力アップや抗酸化作用などの効果が期待されます。
しかし、トマトには犬にとって有害な成分も含まれているため、適量や与え方には注意が必要です。まずはトマトに含まれている栄養素や、犬に与える効果を確認していきましょう。
リコピン
リコピンは、トマトやトマト製品などに含まれる赤い色素であり、ポリフェノールの一種です。高い抗酸化作用を持ち、肌や血液に良い効果をもたらすとされています。特に、リコピンは老化防止に効果があるとされ、病気予防にも期待されます。
また、リコピンは体内でビタミンAに変換され、健康な皮膚や被毛、歯の維持にも貢献すると言われています。ただし、リコピンを過剰に摂取すると、ビタミンA中毒につながる恐れがあるため、適量を守って与えることが大切です。
βカロテン
βカロテンも、抗酸化作用を持つ成分であり、体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。ビタミンAは目の機能や皮膚・粘膜の健康を維持するのに重要な栄養素であり、βカロテンがビタミンAに変換されることでこれらの機能を正常に保ってくれます。
また、βカロテンは健康な皮膚や被毛、歯の維持にも役立ちます。ただし、過剰摂取はビタミンA中毒につながる恐れがあり、肝臓病を引き起こす可能性があるため、適量を守って与えることが大切です。
カリウム
カリウムは、犬にとって必須の栄養素であり、さまざまなメリットがあります。まず、カリウムは体内に溜まった塩分を排出する働きがありまる。カリウムを摂取すつことで犬の体内の水分バランスが整い、血圧を安定させることができます。
血圧を正常に保ち、心臓疾患や脳卒中などの病気のリスクを軽減することができます。しかし、腎臓に疾患をもつわんちゃんの場合、カリウムを摂取しすぎると心臓に負担をかけてしまう可能性があるため、注意しましょう。
ビタミンC
ビタミンCは、犬にとって多くの効能があります。まず、鉄分の吸収を促進する作用があります。また、ビタミンCには解毒作用があるため、体内の有害な物質を排出するのに役立ちます。さらに、ビタミンCはコラーゲンの合成をサポートするので、関節炎の予防に期待ができます。
コラーゲンは、軟骨や関節液など、関節を保護する重要な役割を担っています。ビタミンCが不足すると、関節炎や骨折のリスクが高まることがあります。そのため、適切なビタミンCの摂取は、犬の健康維持にとって重要です。
水分
犬にとって十分な水分補給は健康に欠かせないものです。水分を摂ることで、体内の機能を維持し、体温調節や代謝をサポートし、脱水症状を防ぐことができます。トマトは約94%が水分であり、ビタミンCやビタミンA、カリウムなどの栄養素も含まれています。
また、水をあまり飲まない犬にとっては、トマトを与えることで水分補給をサポートすることができます。ただし、トマトは犬にとって消化が難しいことがあるため、量を適度に調節し、種や皮などは必要に応じて除去するように注意しましょう。
トマトを犬に与えても良い目安量は?
結論として、トマトは犬に必要な食材ではなく、あくまでおやつとして与える必要があります。与えすぎると下痢や嘔吐など体に悪影響を及ぼしたり、満腹感からドッグフードなどの総合栄養食が食べられなくなる可能性もあるため、注意が必要です。
与える量は1日に必要なカロリーの10%程度が目安とされています。また、犬の体重に応じて与える量を調整する必要があります。例えば、3キロの犬であれば、トマト1個(約200g)を8分の1程度与えることが適切です。ただし、他のおやつを与えている場合はさらに減らす必要があるので注意しましょう。
体重 | 1日あたりの摂取可能目安量 |
---|---|
小型犬(2~5kg) | 5g〜10g(ミニトマト半分〜1個程度) |
中型犬(6~15kg) | 13g〜39g(ミニトマト1個〜1個半程度) |
大型犬(20~50kg) | 36g〜78g(通常サイズのトマト4分の1個〜半分程度) |
持病のある犬にトマトを与えても大丈夫?
トマトは美味しく栄養価も高いですが、人間にも犬にも与えすぎると問題が生じます。トマトには持病を悪化させる可能性がある成分が含まれており、注意が必要です。
関節疾患を患っている場合、ナス科の植物に含まれる成分が関節痛を強めることがあります。トマトもナス科の植物であり、ナス科の植物に含まれる成分が関節痛を悪化させる可能性があります。
また、トマトには糖分が多く含まれており、糖尿病や腫瘍を患っている犬にとっては悪影響がある場合があります。特にフルーツトマトは糖分が多いため、与えるのを避けるべきです。
腎不全、肝臓病、心臓病を患っている犬にとっても、トマトを与えることで病状が悪化する可能性があります。基礎疾患のある犬には、トマトを与える前に獣医師に相談することを推奨します。
トマトの加工品を与えるのはNG
犬にトマトの加工品を与えることは、非常に危険な行為であることが知られています。トマトの加工品とは具体的には、トマトケチャップ、トマトピューレ、ドライトマト、野菜ジュースなどが含まれます。
トマトケチャップには、玉ねぎやニンニクが使用されることがあり、有機チオ硫酸化合物が含まれます。有機チオ硫酸化合物は、溶血性貧血を引き起こし、命にかかわることもありますので、絶対に与えてはいけません。
トマトピューレは、トマトが濃縮されているため、少量でも大量のトマトを摂取したことになります。また、香辛料などが含まれていることもありますので、慎重に与える必要があります。
ドライトマトには、水分が抜けているため、少量でも大量のトマトを摂取したことになります。また、カリウム濃度が高くなるため、腎臓病を抱えている犬に与えるときは注意が必要です。
野菜ジュースには、犬に与えてはいけない食材が含まれることがあります。例えば、玉ねぎやぶどうなどが挙げられます。また、塩分が使用されている可能性もあるので、あえて与える必要はないと思いましょう。
犬にトマトを与えるときの注意点
トマトは犬にとって良い効果を与える栄養素が含まれている野菜ということがわかりました。しかし、犬にトマトを与える場合は注意が必要です。
総合栄養食であるドッグフードを与えていることで、犬にとって必要な栄養素は摂取できると言われています。しかし、水分の多いトマトは、シニア犬や夏バテで食欲が低下した愛犬が好むこともあるでしょう。
愛犬にトマトを与える際の注意点をしっかり理解した上で、必要に応じて補助食としてトマトを与えてみましょう。
注意点①完熟したトマトを与える
犬にトマトを与える際には、完熟したトマトを選ぶことが大切です。未熟な実にはトマチン(アルカロイド)と呼ばれる中毒物質が含まれるため、与えると食中毒の原因になります。
トマチン(アルカロイド)は、トマトが自分自身を病害虫から守るために備えている毒性成分であり、未完熟のトマトや葉、茎、花に多く含まれます。犬は未熟なトマトを食べると中毒症状が現れることがあります。完熟したトマトはトマチン(アルカロイド)が少なく、犬にとって安全な食材となります。
注意点②ミニトマトを与えるときは誤飲に注意
ミニトマトは愛犬に与える際には誤飲に注意が必要です。特に、ミニトマトを丸呑みしてしまうと食道に詰まるおそれがあるため、細かく切って与えるようにしましょう。丸呑みしてしまうと消化が追いつかず、嘔吐や下痢の恐れがあるため、注意が必要です。また窒息してしまう恐れもあります。
また、ミニトマトの種は小さいため、そのまま便として輩出されるため、取り除く必要はありません。ミニトマトを愛犬に与える際には、適切な方法で与えることが大切です。
注意点③消化機能が未熟な子犬やシニア犬には与えない
ペットにトマトを与えることは多くの場合安全ですが、消化器機能が未熟な子犬やシニア犬には注意が必要です。トマトには様々な栄養成分が含まれており、大量に摂取すると消化不良や嘔吐、下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があります。
特にシニア犬は消化器機能が低下しているため、一度に大量のトマトを与えないように注意が必要です。また、子犬やシニア犬には皮や種を取り除いた細かく刻んだトマトを与えることを推奨します。
注意点④アレルギーの可能性
トマトは人間にとって栄養価が高い食品の一つですが、犬にとってはアレルギーを引き起こす可能性があります。トマトにはヒスタミン、セロトニン、アセチルコリンといった薬理活性物質が含まれ、仮性アレルゲンとして作用することがあります。
トマトに含まれるアレルギー物質によって、犬の皮膚の痒みやじんましん、腹痛などの症状が引き起こされます。大量に摂取しない限り、重篤な症状は出にくいですが、アレルギーを持つ可能性がある場合は注意が必要です。
また、トマトアレルギーを持たない犬でも「交差反応」に注意が必要です。交差反応とは、トマトと類似したタンパク質を含む食品や環境因子に対してアレルギー反応が出ることを指します。具体的には、ナス科、イネ科、スギ花粉、ラテックスのアレルギーを持つ犬は、トマトに対して交差反応を示すことがあるので併せて注意しましょう。
トマトには犬に与えてはいけない部位がある
前述しましたが、トマトには自分自身を害虫などから守るために毒性物質を持っており、部位によって毒性物質が多く含まれています。そのため、犬に与える場合には与えてはいけない部位を知っておくことが重要です。
トマトの絶対に与えてはいけない部位や、犬が万が一食べてしまったときの対処法について知っておきましょう。
茎・葉・ヘタ・花は絶対に与えてはいけない
トマトの茎、葉、ヘタ、花は犬に与えてはいけない部位です。トマトの茎や葉、ヘタ、花などにはトマチン(アルカロイド)という毒性物質が多く含まれており、犬が摂取すると健康に悪影響を与える可能性があります。
通常、犬は自然に与えてはいけないと言われるトマトの部位を食べることはありませんが、家庭菜園でトマトを育てている場合は注意が必要です。家庭菜園でトマトを育てる場合は、犬がトマトを食べないように柵で囲うなどの対処しておくと安心です。
犬がトマトの中毒部位を食べてしまった時の対処法
トマトの茎、葉、ヘタ、花は犬にとって毒性が高く、食べると中毒症状を引き起こすことがあります。もし犬が食べてはいけないと言われる部位を食べてしまった場合は、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。特に、食べた時間が2時間以内であれば、催吐処置によって吐かせることができます。
ただし、自宅で自己流で吐かせることは危険です。動物病院での適切な処置が必要です。口の中に残っているものは取り除く程度にとどめ、獣医師の指示に従って治療を進めましょう。
【まとめ】犬にトマトを与えるときは正しい部位・量に注意
犬にトマトを与える場合、適切な部位と分量を選ぶことが重要です。トマトのヘタ、茎、葉、花に含まれるトマチン(アルカロイド)は犬にとって有害な物質であり、食べさせると中毒症状を引き起こす可能性があります。
一方、トマトの果実は適量であれば安全に食べさせることができます。ただし、犬に大量に与えることは避けるべきです。犬にトマトを与える場合は、果肉を適切な大きさに切ってから与え、量も適量にとどめるようにしましょう。
また、犬にとっては必ずしも必要な食品ではないため、判断に迷ったときは安易に与えないことが望ましいと言えるでしょう。