クリっとした目にクシャクシャの顔。ブサカワ犬として不動の人気がありパグ以外には犬は飼わないという飼い主がいる中、パグは飼いにくいと考える飼い主もいます。
では、パグは飼いにくいといわれる理由にはどのようなことが考えられるのでしょうか?ここでは、パグは飼いにくいといわれる理由を犬種の特徴や飼育の方法、病気などの点からパグのブリーダーである筆者が解説しましょう。
目次 -INDEX-
パグってどんな犬種?
体高 | オス:25cm~28cm メス:25cm~28cm |
体重 | オス:6.3 kg~8.1 kg メス:6.3 kg~8.1 kg |
原産国 | 中国 |
被毛の色 | フォーン・ブラック・アプリコット・シルバー |
パグの基本的な性格は、陽気で快活、人懐っこく落ち着きがあるといわれています。ただ、頑固な一面も持っているためしつけには注意が必要です。
パグの体格は、思いのほか筋肉質でがっしりした体つきをしています。
パグはダブルコートの短毛種で換毛期には、抜け毛がとても多いでしょう。ジャパンケネルクラブが公認しているパグの毛色は、フォーン・ブラック・アプリコット・シルバーです。現在日本ではアプリコット・シルバーの毛色を持つ個体は見られないようです。
パグが飼いにくいと言われる理由
パグが飼いにくいといわれる最大の理由は、世話がたいへんということでしょう。パグを好きで飼っている飼い主からすると「そんなに大変とは思わない」ことでも、じつはほかの犬種とは違うお世話があるのです。
たとえば食事の後には顔を拭く、顔のしわの間のお手入れ、また短頭種のため、飼育環境での温度管理・抜け毛の多さなどパグを飼うときには知っておいてほしいお世話があります。
また、皮膚病などになりやすく、個体によっては医療費がかかることもあります。
パグを飼うのが大変な6つのポイント
一般的にパグは飼いやすい犬種といわれていますが、短頭種であるパグ特有の飼育方法があります。そのため、ほかの犬種と比較するとお世話がたいへんと感じる側面があることは確かでしょう。
ここでは、パグを飼うことが大変といわれる6つのポイントについて考えてみましょう。
大変ポイント①飼育環境の温度管理をする必要がある
パグは暑さ寒さが苦手な犬種です。フレンチブルドッグなど他の短頭種と同様にパグは鼻が短いため体温調節をすることがとても苦手です。
そのため、パグを飼育する際はとくに夏と冬の飼育環境の温度調節が必要になります。パグは日本の蒸し暑さが苦手なため飼い主が出かけるときも夏はエアコンはつけたまになります。
さらに湿度が高いと室温25℃でも熱中症になり命を落とす危険性があるため、室温の管理と同時に湿度の管理がとても大切になってきます。
大変ポイント②病気になりやすい
- 壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)
- 肥満細胞腫
- 軟口蓋過長症
- 角膜炎・ドライアイなど目の病気
- 皮膚炎
パグは、ほかの犬種と比較するとケガや病気で病院に行くことが多いといわれています。ただ、病気やけがは、個体差があり定期検診や予防注射以外には病院へ行ったことがないという子もいます。
パグに多く見られる病気は、原因不明の壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)・皮膚がんの一種である肥満細胞腫・軟口蓋過長症・角膜炎やドライアイなどの目の病気・皮膚炎などです。
また、パグは短頭種のため呼吸器系の病気も多くみられます。
大変ポイント③被毛のお手入れが大変
パグは短毛種ですがダブルコートの犬のため比較的抜け毛が多くお手入れが大変といわれています。
とくに一年に2回ある換毛期には、アンダーコートが抜けるためかなりの抜け毛の量です。飼い主は外出の時は服に抜け毛がついていないかをチェックする必要があります。
パグは2,3日に1回程度ブラッシングをすると抜け毛が少なくなりますが、ブラッシングの際は皮膚が弱いためラバーブラシなど皮膚を傷めないブラシを使いましょう。
また、暑い季節は脂漏症にならないためにも10日から2週間に1度シャンプーする必要があります。
大変ポイント④顔まわりのお手入れが必要
パグの最大の特徴はクシャっとしたしわだらけの顔ですね。ただパグの顔のしわの間は、とても蒸れやすく赤くなるなど炎症を起こしやすいといえます。そのため、毎日顔のしわの間を濡れタオルなどで拭いてあげる必要があります。
また、しわの間が蒸れないように濡れタオルなどで拭いた後はガーゼなどの乾いた柔らかい布で拭いてあげる必要があります。
さらに、食べることが好きなパグですが、食事の後は顔が汚れていることがあります。そのままにしておくと皮膚炎になってしまうので食事の後には必ず顔を拭く必要があります。
大変ポイント⑤十分な散歩や運動量が必要
パグはずんぐりむっくりとした体形をしており運動が苦手な犬と思われがちですが、長続きはしませんが見た目よりは活発に運動することが好きです。個体によってはアジリティーに参加する子もいます。
パグはしっかり運動させることでストレスを発散し、健康に過ごすことができます。そのため、パグは毎日の散歩が欠かせません。
パグは誰とでも仲良くできる性格を持っていますが、さらに社会性を養うためにも散歩やドッグランなどで運動させることが大切です。
大変ポイント⑥頑固な一面もある
パグは陽気で明るく活発な性格で犬の中でも比較的おりこうさんな性格をしています。ただ、飼い主の接し方によっては頑固でわがままな性格になってしまうこともあります。
クリっとした目で見つめられるとついつい何でもいうことを聞いてしまいたくなるパグですが、宮廷で飼われていたこともあるパグはプライドが高く頑固な側面も持っています。
ある意味パグはマイペースな犬ともいえますが、飼い主が甘やかしすぎるとコマンドを聞かない子に育ってしまい飼いにくいと思えるでしょう。
パグを飼うのにかかる費用
パグを購入する費用 | 35万円程度 |
食費 | 1カ月5000円前後(ドッグフードのグレードによる) |
日用品費 | 1カ月2000円から3000円 |
医療費 | 1年間の平均約10万円 |
トリミング代 | 1回3500円程度 |
パグの購入費用はおよそ35万円程度(2023年現在)ですが、個体によって価格には幅があります。
パグの食費は平均して5000円前後ですが、飼い主がどのドッグフードを与えるかによって違ってきます。
ペットシーツなどの日用品は、ほかの犬種と大差はありませんが、病気になりやすい傾向にあるため医療費がほかの犬種よりも必要になる可能性があります。
また、パグのトリミング代はほかの犬種とあまり変わらないようです。
パグの平均寿命は?
パグの平均寿命は、12.5歳といわれています。パグの平均寿命は、ほかの小型犬が14歳程度であるため少し短いといえるでしょう。
ただ、平均寿命はあくまでも参考なので飼い主の健康管理次第では、15歳以上まで生きる子も少なくありません。筆者が知る限りでは23歳で亡くなったパグがいますので、健康管理に注意してあげることが大切ですね。
また寿命に関してはパグに限らずほかの犬種に共通することは、個体差があることを知っておくことが大切です。
パグを飼育する際のポイント
パグは飼いにくいといわれることもありますが、しっかりしたパグの飼育方法を理解することで生涯のパートナーとなることができます。
ここでは、パグとの暮らしが楽しいものになるために飼育する際の5つのポイントを紹介しましょう。
パグの散歩について
パグはとても遊ぶことが好きです。室内で飼い主と一緒におもちゃで遊ぶだけでも十分な運動になりますが、毎日散歩をすることで社会性を養いストレスを発散させることができます。パグの散歩は毎日朝夕2回15分程度で十分です。
ただパグは暑さにとても弱いため夏の暑い時間帯は日の出前の早朝か夜がおすすめです。また、あまりに暑い時は無理に散歩へ行く必要はないでしょう。寒い季節は、できるだけ暖かい時間帯に散歩へ行くといいですね。
パグの食事について
パグはとても食べることが好きです。飼い主が油断をすると何でも食べてしまいます。そのため、お菓子など犬に食べられては困るものは、パグが届かない場所に保管しましょう。
また、肥満になりやすいため食事の量の管理がとても大切になります。ドッグフードを与える場合は、ドッグフードに書いてある給餌量を与えるのではなく1頭1頭にあった適切な量を与えることが大切です。また、おやつを与えるときは、食事の量を減らすようにしましょう。
パグのしつけについて
パグは訓練性が高い犬種ではありません。そのためパグのしつけに必要なことは、気長に繰り返して教える根気です。
また、頑固な一面があるため飼い主のコマンドを聞かなくなってしまうこともあります。パグはとてもプライドが高いため、叱るよりも褒めることでしつけると効果的です。
さらに食べることが好きなパグは、おやつやトリーツを上手に使うことでとてもよく覚えてくれます。
パグのお手入れについて
パグは、定期的なお手入れが必要な犬種です。とくに顔のしわの間は蒸れやすく皮膚炎になりやすい場所のため毎日のケアが不可欠です。また、食事の後も顔が汚れていることがあるため顔を拭いてあげるといいでしょう。
抜け毛が多いパグは、2〜3日に1回程度ラバーブラシなどでブラッシングをしてあげましょう。ブラッシングすることで抜け毛の量も減り、パグ臭といわれる独特のにおいも少なくなります。
シャンプーは夏の暑い季節は10日から2週間に1回は洗ってあげるといいですね。
パグの飼育環境について
パグは短頭種のため暑さ寒さにとても弱い犬種です。そのためパグの飼育環境での温度管理がとても大切になってきます。とくに夏は、人間が少し寒いと感じるくらいの温度がパグにとっては適温といわれています。
また、パグは湿度にもとても弱い犬種です。気温が高くなくても湿度が60%以上の場合、熱中症になってしまう可能性があります。パグの様子をよく観察し、梅雨から初秋にかけてエアコンで室温と湿度の管理をしてあげましょう。
パグに関するよくある質問
パグのブリーダーが考えるパグを迎えるのがおすすめな人
- 時間的に余裕がある人
- 留守にすることが少ない人
- 金銭的に余裕がある人
パグは毎日のお手入れと散歩、コミュニケーションをとるための遊びなど一緒に過ごす時間が必要な犬種です。十分にパグのために時間がとれる方におすすめです。
パグはとても寂しがり屋で飼い主と一緒に過ごすことがとても好きな犬です。そのため、できるだけ自宅にいることができパグだけでお留守番する時間が短い方に向いているといえるでしょう。
ただ、共働きでお留守番させることが多くても休日などにパグとの時間を十分に取れる人はパグを飼育することが向いているといえますね。
さらに、個体差はありますがパグは、皮膚病や肥満細胞腫などの病気にかかりやすいといわれています。診療費が高額になる可能性があるため、パグのために十分な飼育費用が用意できる方が向いているでしょう。
パグのブリーダーが考えるパグの飼育をおすすめできない人
- 時間的な余裕がない人
- 長時間留守にすることが多い人
- 充分な飼育費用が用意できない人
パグはとても寂しがり屋で甘えん坊の犬種です。いつも飼い主の近くでまったりしておきたい性格の子が多いといえるでしょう。そのため、パグのために散歩や遊びだけではなく、一緒に過ごす時間を十分にとることができない人にはおすすめできません。
パグは長時間のお留守番も苦手な犬です。パグのお留守番が長くなることが考えられる人はパグの飼育には向いていないでしょう。
また、目のケガや皮膚炎など動物病院にお世話になる機会が多いことも確かです。すぐに対応することができる費用を用意できない人もパグの飼育には向いていないでしょう。
パグが飼いにくいと言われるのは犬種の特徴が大きく関係していた!
パグには犬種独特の特徴があります。パグという犬種の特徴を理解しないままパグを飼ってしまうと「パグは飼いにくい」と感じてしまうでしょう。
ただ、パグが好きでパグ中毒といわれるほど愛している飼い主は、パグが飼いにくいといわれるポイントが逆にパグの魅力でもあると考えてしまいます。
パグだけではなく、犬を飼うときはただ「可愛い」「楽しそう」というイメージではなく、その犬種の特徴を理解したうえで飼うようにすることが大切ですね。
筆者は、パグをこよなく愛し、パグ好きが高じてパグのブリーダーを17年ほど続けています。一般家庭と同じように毎日パグにまみれながらのブリーディングで、皆さんに愛されるパグを模索しています。