秋田犬の性格や寿命、しつけ方とは？病気や運動量、飼い方まとめ

どっしりとした大きな体に、とがった耳と小さめの目、くるりと巻いた尾が気品を感じさせる秋田犬は日本犬種の中で唯一の大型犬です。

正確な読み方は「あきたいぬ」で、秋田県大館市が故郷です。日本犬は世界中に愛好家が存在し、秋田犬も大変人気があります。

日本で一番有名な秋田犬といえば、忠犬ハチ公でしょう。主人をなくした秋田犬が、東京・渋谷駅で帰るはずのない主人を待ち続ける話は、日本やアメリカでも映画化されました。

とても魅力的な秋田犬ですが、初心者向きの犬種ではありません。これから秋田犬を家族に迎え入れたいという方のために、飼い方のコツや気を付けたいことなどをお伝えしていきます。

秋田犬の基本情報

歴史

秋田犬は、日本の東北地方で狩猟犬として活躍していたマタギ犬が祖先といわれています。

江戸時代、秋田地方では闘犬が盛んに行われ、より大きくより強い犬が求められるようになっていきます。マタギ犬と地域の土着犬との交配が行われ、これが秋田犬の原種となりました。

明治時代には地方の犬種や洋犬との交配により、さらに大型化していきます。

大正時代に入り、雑種化する日本犬の保護運動が全国でおこるようになり、1931年の春に９頭の秋田犬が国の天然記念物に指定されました。

戦争が始まると、秋田犬を含めた多くの日本犬もその犠牲となり数が減っていきます。その後、愛犬家の非常な努力により、戦後に生き延びた十数頭の純血種が現在の秋田犬の土台となりました。

戦後は、占領軍のアメリカ兵が帰国の際に秋田犬を自国に連れ帰ります。当時の秋田犬は戦時中の捕獲を逃れるために、ジャーマン・シェパード・ドッグやマスティフとの混血が多く存在していました。

混血の秋田犬はアメリカで独自の改良を重ね、「アメリカン・アキタ」と呼ばれます。日本の秋田犬とは区別された別犬種ですが、海外では混同されることもあります。

大きさ（サイズ）

• オス
  • 体高　64～70cm
  • 体重　42～48kg

• メス
  • 体高　58～64cm
  • 体重　35～40kg

※体高…地面から肩の位置の数値、体長…胸からお尻までの数値

オスはメスよりも大きく、がっしりとした体つきです。体長は体高に比べてやや長めで均整のとれた美しい体形をしています。

毛色は赤毛、白毛、虎毛の3色がメインです。黒毛と胡麻毛も存在しますが、非常に珍しくほとんど見られることはないでしょう。秋田犬は短毛がスタンダードですが、「ムク毛」と呼ばれる長毛のタイプも存在します。

秋田犬はシャー・ペイ、チャウチャウ、柴犬に続いてオオカミのDNAを色濃く受け継いでいる犬種です。

寿命

秋田犬の寿命は10歳～14歳で、平均寿命は12歳です。大型犬は小型犬に比べて寿命が短い傾向がありますが、近年は獣医学の向上や飼育環境の改善などで、大型犬の寿命も伸びてきました。

適切な食事や運動、ストレスを与えない飼育環境などで寿命を伸ばしてあげることは十分可能です。

犬は自身の不調を隠すことが多く、とくに秋田犬は我慢強い犬種ですので飼い主は常に愛犬のちょっとした変化に気付けるようにしておきたいですね。

秋田犬の性格

飼い主に忠実で素直

リーダーシップと信頼関係が築けていれば、秋田犬はとことん飼い主に忠実です。賢く聡明なので、もの覚えも早く、飼い主の命令には素直に従うでしょう。

愛情深く温和ですが、家族の中で順位付けすることがあるので、家族全員が子犬の頃からしっかりとした信頼関係を結び、リーダーシップを取るようにしておきましょう。

飼い主に忠実であるがゆえに、飼い主以外には懐きにくい「ワンオーナードッグ」でもあります。知らない人には攻撃的になることもあるので、子犬の頃からしっかりと社会化としつけを行う必要があります。

落ち着いていて我慢強い

子犬の頃はやんちゃですが、成犬になると落ち着いた性格で、あまりはしゃぐことはありません。とても我慢強いので、体の不調やストレスを表に出すことが少ないです。

犬の表情や態度など普段と違うなと思うことや、ケガをしていないかなど注意深く見ておく必要があります。

落ち着いてはいますが、秋田犬は狩猟犬や闘犬としての気質をもっています。攻撃にためらいがないところがあるので、特に雄犬同士の接触には気をつけましょう。日本犬は表情が読み取りづらく、突然喧嘩に発展することがあります。

警戒心が強い

警戒心が強く、感覚が鋭いので番犬にはとても向いています。しかし、飼い主以外の人間や動物には攻撃的になることもあります。お散歩の途中などで子どもや、知らない人間にふいに触られると警戒心から攻撃してしまうことがあるので注意が必要です。

飼い主はしっかり犬をコントロールし、近づいてくる人には注意を促すなどする必要があるでしょう。

最近ではペットとして扱いやすいように、穏やかな気質への改良がすすんでいます。しかし、秋田犬の気質や性格をしっかりと理解し、常に注意をしておくことが大切です。

秋田犬に必要な運動量

大型犬のため、運動量はとても多いです。1日２回、それぞれ1時間の散歩をしましょう。それほど活発ではありませんが、もともと山の中を熊を追っていくほどのスタミナがあります。走ったりするよりも、長時間歩かせるようにする運動がおすすめです。

大型犬なので室内で運動させることは難しいかもしれません。自由に走り回れる庭などがあるとよいですね。

運動不足はさまざまな問題行動を起こしやすくなりますので、適切な運動量をしっかり確保してあげましょう。

秋田犬の飼い方

ポイント1　十分な運動をさせましょう

秋田犬は運動不足になるとストレスから攻撃性や吠え癖の出やすい犬種です。外で走り回れる環境がなければ、毎日欠かさずお散歩にいけるように時間を確保しましょう。

運動量が満たされると精神が安定し、穏やかで飼いやすくなります。ドッグランで自由に走らせることもおすすめですが、他の犬に対して友好的でない場合があります。他の犬とのトラブルには十分に注意しましょう。

天候不良などでどうしてもお散歩にいけないときは、飼い主とコミュニケーションの取れるトレーニングを取り入れた遊びがおすすめです。

ポイント2　攻撃性を抑えるトレーニングを

飼い主に対しては忠実で愛情深いですが、警戒心から攻撃的になることがあります。大型犬なので、飼い主が常に犬をコントロールできるようにしておく必要があります。

子犬のうちから社会化トレーニングと、オビディエンストレーニング（服従訓練）を徹底しておきます。

特に縄張り意識の強いオス犬は、早めの去勢をすることにより気性の荒さや攻撃性を抑えることができます。繁殖の予定がなければ検討してもいいでしょう。

ポイント3　熱中症に気を付けましょう

秋田犬は寒冷地で活躍する狩猟犬でした。そのため寒さにはとても強いのですが、夏の暑さは苦手です。

飼育スペースにエアコンや冷却装置の設置は必須となります。その他にもペット用の冷却シートやタイルを敷くなどの工夫も必要になるでしょう。

特に気を付けたいのは夏の散歩です。なるべく気温の低い早朝や夜などの時間帯を選んで散歩しましょう。

ムク毛と呼ばれる長毛種の秋田犬は、夏の間だけ毛を短くする「サマーカット」をすることもあります。サマーカットはメリット、デメリットがあるので、動物病院やトリマーさんとよく相談して決めるとよいです。

秋田犬のかかりやすい病気・疾患

ブドウ膜皮膚症候群

メラニン色素を含む細胞を自己免疫が攻撃することによって発症します。秋田犬の発症率が高い疾患です。

症状は皮膚の色が薄くなったり、鼻や目の周り、唇などが白っぽくなります。眼球に症状が出ると失明してしまうこともあり、白内障や緑内障を併発することがあります。

原因は不明で予防法もありません。早期発見・早期治療で進行を遅らせることができるので、日頃から愛犬の変化には気付けるようにしておきましょう。

眼瞼内反症（がんけんないはんしょう）

犬の眼のまぶたが内側にめくれてしまうことで、逆さまつ毛が眼球を刺激して、角膜炎や結膜炎を引き起こす疾患です。

原因は先天性であることが多いですが、怪我や眼の周りの筋肉や神経の異常によって発症することもあります。

涙がたくさん出るので眼の周りがいつも濡れたようになり、犬は眼のあたりを気にします。症状が軽ければまつげを抜くことで改善しますが、まぶたが完全にめくれてしまっている場合は外科手術によって治療することもあります。

甲状腺機能低下症

甲状腺は、喉のやや下の左右にあります。ここから分泌される甲状腺ホルモンは、全身の代謝をつかさどり、このホルモンが分泌されなくなるのが甲状腺機能低下症です。

症状は、寝ている時間が多くなり、体重が増えてきます。顔にむくみが出て悲しそうな表情をしているように見えたり、鼻の乾燥やひび割れ、尻尾の脱毛が見られます。

老化現象とよく似ている症状なので、飼い主は年のせいと見逃しがちです。適切な治療をしないと衰弱していくので、早期発見することが大切です。

治療方法は主に投薬によるホルモンの補充です。完治はしないので、一生涯にわたっての投薬が必要です。投薬を始めると2週間ほどで、症状の改善が見られることが多いでしょう。

秋田犬におすすめのドッグフード

【全年齢向け】秋田犬におすすめのドッグフード

カナガン

犬にとって必要な栄養素だけを使用しているカナガンは、獣医師の97％が推奨する無添加のプレミアムドッグフードです。

原材料は骨抜きチキンの生肉と乾燥チキンなどの高タンパクなチキンを50％も使用しています。

チキンは人間が食べられる基準をクリアした「ヒューマングレード」で、上質で新鮮な生肉を使用しています。保存料や合成着色料も使わてれいない完全無添加です。

もともと肉食傾向のある犬はお肉が大好きです。袋を開けた瞬間からチキンの香りが広がり、嗜好性も抜群なので、飽きることなく毎日の栄養をしっかり摂取できるでしょう。

犬には消化しにくいと言われるトウモロコシや小麦などの穀類をいっさい使用していません。その代わりに上質な食物繊維源であるサツマイモやえんどう豆が配合されているので、お腹を壊しやすい愛犬にも安心して与えられます。

さらに、犬の体内では合成できない必須脂肪酸のひとつであるオメガ3脂肪酸も含まれており、日本犬に多いとされている皮膚のアレルギー反応を改善させてくれる働きがあります。

【公式】カナガン

【パピー・老犬向け】秋田犬におすすめのドッグフード

カナガンウェット

カナガンは新鮮なチキンの生肉を65％使用した、無添加で穀物不使用のウェットタイプドッグフードです。

ウェットタイプはドライフードとの併用や、食欲のないときの非常食としてもとても便利です。

また、離乳食を食べている子犬や顎や歯が弱ったシニア犬などは少量でしっかりとした栄養が摂取できるのでおすすめです。

人間でも食べられる「ヒューマングレード」食材を使用。手作り食にしたいけれど、栄養のバランスが心配という方にもぜひおすすめしたいフードです。

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秋田犬のしつけのポイント

飼い主に対してはとことん尽くすタイプなので、しっかりとした信頼関係を築くことがとても大切です。信頼している飼い主に対しては素直なのでトレーニングもしやすいでしょう。

警戒心の強さは番犬には向いていますが、人間社会の中で生きていく場面で不都合な場合も多いです。警戒心の薄い子犬の時期に、なるべくたくさんの知らない人間や、他の犬などに対面させておきましょう。

また、子犬のうちの甘噛み癖は早めになおしましょう。顎の力が強くなってくると甘噛みでも大けがをする危険性があります。

大型犬で力も強く、じゃれて飛び掛かっただけでも大きな事故に繋がる可能性があります。「待て」「伏せ」「座れ」「離せ」等の制止のコマンドをしっかり教えておくようにするとよいでしょう。

危険な行動に出る前にこれらの指示を聞けるようにすることで未然に事故を防ぐことができます。

真面目でまっすぐな性格なので、一貫性のあるしつけをしないと犬が混乱して信用を失ってしまいます。家族の中でしかり方や褒め方がバラバラにならないよう、しつけのルールに一貫性を持たせましょう。

日本犬のトレーニングは一筋縄ではいかないこともあります。時にはドッグトレーナーからプロの指導を受けることもおすすめします。

秋田犬を飼う前の準備

• 迎え入れる費用について

秋田犬の子犬の相場は10～30万円です。オスよりメスの方が飼いやすいという理由から人気があり、高価な傾向があります。

長毛種は、秋田犬のスタンダードからはずれるため、安く販売されることが多いです。

その他クレートやケージ、食器、おもちゃ、トイレ、首輪、リードなどの飼育用品。ブラシやシャンプーなどのお手入れ用品などが必要になってきます。

飼育環境を整えるために、絨毯やマットレスを敷いたり、ペットゲートを取り付けたりといった費用も考えておく必要があるでしょう。

大型犬は飼育用品も値段があがるので、準備にかかる費用は、平均よりも高くなります。

• 飼い始めてからかかる費用について

お家に迎え入れて必要になるのが、畜犬登録（3000円前後）と狂犬病の予防接種（3500円前後）、混合ワクチン（5000～8000円前後）になります。

毎年かかる費用は、狂犬病予防注射と混合ワクチンに加え、フィラリア薬7カ月分となります。

フィラリア薬やノミ・ダニ予防の薬は体重によって値段が変わるので、小型犬よりはコストがかかります。

繁殖の予定がなければ、避妊手術（3～5万円）、去勢手術（2～3万円）も考えておきます。

ドッグフードやペットシーツの消耗品も小型犬よりは高価になります。病気になった時の医療費のことを考えてペット保険への加入なども検討しましょう。

• どこから迎え入れるのか

秋田犬はペットショップで見ることはあまりありません。基本的にブリーダーからのお迎えになります。しっかりとした知識のある専門犬舎のブリーダーを選びましょう。

ブリーダーからお迎えするメリットはとても多いので、ぜひ時間をかけて探してみてください。

里親としてお迎えしたいという方は少し根気がいるかもしれません。犬種の特性から里親になる人には厳しい条件が出されることがあります。

譲渡会などに足を運んで、よく説明を聞いてお気に入りの子が見つかったら、里親として申し込みをしてみましょう。保護された秋田犬は何らかの事情や原因があって里子にだされているので、それを理解したうえでお迎えしましょう。

秋田犬の飼い主の本音【飼いやすい？飼いにくい？】

飼いやすいという声

「真面目で実直、飼い主だけに忠実なところに日本の武士を感じます」

「しっかりしつければ、良きパートナーになります。困ったところは特にありません」

「自立心があって、あまり媚びないところが楽。お留守番も上手です」

「いざという時は勇敢なので頼もしい。優秀な番犬です」

「家の中ではいつも静か。無駄吠えもなくおとなしいです」

「とても利口なので、しつけがしやすい」

日本犬の魅力をとてもよく感じられるコメントが多かったです。秋田犬という犬種をよく知ることがとても大切ですね。適切な飼育環境と愛情、トレーニングが必要であることがとてもよくわかります。

どこか武士のような雰囲気を感じるという方のコメントにも納得してしまいました。日本の犬なので、どこか日本人の気質に通じるところがあるのかもしれません。

飼いにくいという声

「警戒心が強く吠えやすい」

「気性が荒く力も強い、あの大きさなので扱いが大変」

「生半可な気持ちでは飼えません」

「大量に毛が抜けます。大きいのでブラッシングも大変」

「しっかりとしつけができる人でないと飼えない」

「散歩に毎日３時間かけています。飼い主に体力がないと無理」

秋田犬を飼うには心構えが必要なようですね。自我が強く頑固なところがあるので、飼い主がしっかりコントロールできることと、リーダーシップをとれることがとても大切です。

モフモフが可愛らしい秋田犬ですが、被毛はダブルコートなので非常に抜け毛が多いです。換毛期にはさらに大量の毛が抜けるので、ブラッシングなどのお手入れにも手間をかけてあげる必要があります。

秋田犬の可愛い癒し画像集

秋田犬に関するQ&A

【Q1】秋田犬を飼いたいのですが、子どもとうまくやっていけますか？

子どもがまだ小さい場合はあまりおすすめできません。

信頼関係のもとしっかりとしつけられた秋田犬であれば家族に対して特別な愛情を持ちますが、本来子どもとの相性はあまりよいとはいえないからです。

特に子犬のうちは付きっきりで向き合う必要もあるため、子どもが手離れした頃、時間と余裕ができたときにお迎えするのがよいでしょう。

【Q2】秋田犬を屋外で飼うことはできますか？

基本的に室内で飼うことをおすすめしますが秋田犬は屋外でも飼うことができます。

屋外で飼う場合は、雨や風をしっかり防げる丈夫な犬舎と自由に動き回れるスペースを確保してあげましょう。夏の暑さにはとても弱いので、熱中症には十分注意してください。日陰を作ることと、体を冷やせるようにする工夫が必要です。

屋外では蚊に刺されることでフィラリアに感染する恐れもあります。蚊よけの工夫と、予防をしっかりしてあげましょう。

また、飼い主とのコミュニケーションや運動量が不足しないように常に気にかけてあげる必要があります。

【Q3】どんな人が秋田犬を飼うのに向いていますか？

大型犬の扱いに慣れている、パワーのある人が向いているでしょう。運動量も多いので体力があって、犬をしっかりコントロールできることが必要です。

しつけに関しても一貫性があり、自信のあるリーダータイプの人が向いています。愛情をもってお手入れや健康管理に労力を惜しまないことも大切です。

攻撃性が問題になることもある秋田犬ですが、日本犬の気質を理解して適切な飼育ができる人がリーダーとなれば、とても温和で素晴らしい家庭犬となる犬種です。