ピットブルは世界最強といわれる犬で筋肉が発達した屈強な体格と優れた運動能力を持っており、本来闘犬としてより強く屈強な犬を作り出すためのブリーディングが行われてきたことで攻撃的な側面を持っています。
そのため、世界各地でピットブルが人やほかの動物に噛みつくという事故が引き起こされています。本記事では、ピットブルによる事故とピットブルを飼育するうえでの注意点を詳しく解説しましょう。
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目次 -INDEX-
日本で起こったピットブルの事故
日本は現在ピットブルの飼育に関する法的な規制がないため、ピットブルを誰でも飼育することができる環境です。
ただ、ピットブルは闘犬としての性格を持っている犬種です。性格が穏やかになるようにブリーディングされてきてはいますが、日本でも海外と同様にピットブルによる事故が発生しています。
本記事では日本で起きたピットブルの事故を紹介しましょう。
【2023年9月15日】アメリカンブリーXLが男性を噛み殺す イギリス
アメリカンピットブルテリアとアメリカン・スタッフォードシャー・ブル・テリアの交配種である「アメリカンブリー」による痛ましい事件が発生しました。
英イングランド中部スタッフォードシャー(Staffordshire)警察は15日、52歳の男性が犬に襲われ死亡した事件で、飼い主の男(30)を過失致死の疑いで逮捕したと発表した。
引用元:男性死亡で飼い主逮捕 相次ぐ襲撃で特定犬種禁止へ 英
事件を起こしたのは、「アメリカンブリーXL」と呼ばれる、ピットブルとアメリカンスタッフォードシャーテリアの交配種です。
アメリカンブリーXLは特に体格が大きく、凄まじい筋肉量があります。顔つきは、ほとんどピットブルと同じですが、体格はそれ以上です。
度重なるイギリスでのアメリカンブリーXLの襲撃を受けて、スナク首相はアメリカンブリーXLを年内にも飼育禁止とする法案を制定する姿勢です。
【2023年最新】男が飼育しているピットブルが通行人の女性に噛み付く
2023年2月、横浜市で散歩中のピットブルが近くを通行していた女性に襲い掛かりけがを負わせるという事故が起きました。
警察によると飼い主の男性が用を足すためにピットブルのリードを近くの柵に結んでいましたがほどけてしまい、通行していた女性を襲ったということです。
このピットブルは2022年12月以降、散歩中に2度通行人に噛みついていたということです。警察はこの男性を逮捕するとともにほかにも余罪がないかを調べています。
女性に重傷を負わせ抱いていたトイプードルを噛み殺す
2020年5月、自宅の庭でピットブルを放し飼いにしていた男性がピットブルを逃がしてしまい、逃がしたことを警察に通報せず放置しました。
その後逃げたピットブルは民家に侵入し、67歳の女性を襲い全治40日のけがを負わせました。そのうえ女性が抱いていたトイプードルをかみ殺してしまいました。
けがをした女性の夫が警察に通報し、ピットブルが逃げていたことが発覚。動物愛護センターの職員によって保護されました。このピットブルは購入したブリーダーに戻されています。
4頭のピットブルがチワワを噛み殺す
2017年4月中旬、静岡県足柄サービスエリア下りの駐車場で3㎏のチワワが突然体重30㎏ほどある4頭のピットブルに襲われ、命を落としました。
ピットブルの飼い主は、耐荷重20㎏のリードフックに4頭をつなぎその場を離れていました。チワワになぜピットブルが急に襲ったかはわかりませんが、チワワの飼い主も指をかまれてしまいました。
ピットブルの飼い主は異変に気が付きすぐに戻ってきましたが、4頭のピットブルをコントロールすることができませんでした。
海外で起こったピットブルの事故
日本だけではなく海外でもピットブルによる事故が多発しています。海外では闘犬が禁止された後も1990年代まで闇で闘犬が行われていました。
そのため、温厚な性格のピットブルが増えてきたとはいえ、いまだ攻撃性の強い性格を持った個体もあります。ここでは海外におけるピットブルに噛まれる事故を紹介しましょう。
イギリス:のピットブルを改良した友人の犬「アメリカンブリーXL」に頸部を噛まれ34歳男性死亡
イギリスに住む男性、イアンさんはピットブルを改良して作られたアメリカンブリーXLを友人から預かり、散歩中の公園で首を噛まれその後死亡しました。
アメリカンブリーXLのコングは、52kg。イアンさんは身長177.8センチ、50kgとコングよりも体重が少なく細身だったそうです…。
預けたコングの飼い主である友人は、コングを事件の前日に購入しました。まだ飼い主とも信頼関係が築けておらず、コングも困惑していたのかもしれないです。
イギリスでは、ピットブルを含めピットブルに容姿的に似ている犬は飼育以外にも販売する、捨てる、譲渡する、繁殖するなどの行為が全て禁止されているそうです。
アメリカ:ピットブル3頭に襲われ頭皮の70%を失う
2023年1月10日、自転車に乗っていた10歳の少年が突然3頭のピットブルに襲われました。3頭のピットブルはつねに放し飼いにされており、飼い主の男性は2014年頃から犬の飼い方で近隣住民ともめていました。
住民や被害者の母親も何度となく警察に通報していましたが、状況は改善されませんでした。
少年は幸いにも命を取り留めましたが、頭皮の70%を失う重傷で今後も手術が必要ということです。飼い主の男性が放し飼いしていたほかの犬も捕獲されています。
アメリカ:2歳と5ヶ月の姉弟が8年飼育したピットブルに襲われ死亡
2022年10月、アメリカで8年間ペットとして飼っていたピットブル2頭が2歳と5ヶ月の姉弟を突然襲い死亡させるという事故が起きました。
2頭のピットブルは子どもたちが生まれてから一緒に何事もなく生活しており、なぜ二人が襲われたのかは明らかにされていません。
ただ2頭の攻撃は10分以上続き、一緒にいた姉弟の母親にも噛みつき大けがを負わせています。2頭は事故後安楽死となっています。
アメリカ:ピットブルに襲われ70歳女性死亡
2022年7月、飼っていたピットブルに女性が襲われ亡くなるという事故が起きました。
女性がいつ襲われたかはわかりませんが、仕事から帰宅した夫が裏庭で女性を引きずり体を食べているところを目撃。警察に通報しましたが、ピットブルは警察官にも襲いかかったためその場で射殺されました。
現場の状況は壮絶で、犬を射殺した警官は現在も病院で治療を受けています。このピットブルは、2週間前に亡くなった継息子が飼っていた犬でした。
ベトナム:飼い犬のピットブルに襲われ高齢女性が死亡
2022年8月ベトナムで高齢の女性が、飼っていたピットブルに襲われ病院に運ばれましたが2日後に亡くなりました。
このピットブルは1年ほど前から家族で飼っていたもので体重は40㎏ほどありました。
そもそもピットブルはどんな犬種?気性は荒い?
一般的にピットブルと呼ばれる犬種は「アメリカン・ピット・ブル・テリア」で、原産国はアメリカです。
ピットブルは、1870年代にブルテリアとブルドッグを交配させてイギリスで生まれたスタッフォード・ブル・テリアとアメリカンブルドッグなど闘犬として飼育されていた犬種の中でとくに闘犬の資質に優れた犬を厳選してブルリーディングした犬種です。
そのため、ピットブルは、ブルドッグなどと比べて四肢が長く戦うことに特化した犬種となりました。性格はとても攻撃性が強く気性が荒い個体が多いと考えられています。
ただ、闘犬が全面的に禁止となっている近年では、ピットブルを穏やかな性格の個体とのブリーディングによって飼育しやすくなるような改良が進んでいます。
ピットブルはなぜ事故が起きやすい犬種なの?
ピットブルは闘犬が盛んだったアメリカにおいてより闘犬として強い犬を作出することを目的としてブリーディングされた犬種です。
攻撃性が強く、運動能力がとても高いことが事故を起こしやすい原因のひとつといえるでしょう。しっかりとした骨格と筋肉質の体は、ピットブルが闘犬であったことを物語っています。
ただ、ピットブルは闘犬として闘わせるためにとても高い訓練性と頑強な忠誠心・飼い主への深い愛情を持っています。そのため、ピットブルは飼い主が適切な飼い方をすることで攻撃性が抑えられる可能性があります。
- 闘犬として作られた
- 運動能力が高い
- 忠誠心や飼い主への深い愛情
ピットブルの飼育が規制されている国
ピットブルは世界的に危険な犬種として所有や輸入が禁止している国があり、闘犬は動物愛護の観点から世界的にも禁止になっています。ピットブルの所有や輸入などが禁止されている国を紹介します。
ピットブルは危険な犬種であるにもかかわらず愛好家も多く、イギリスでは犬種名をアイリッシュ・スタッフォードシャー・ブル・テリアとして登録し飼育している飼い主もいます。
- イギリス・フランス・ドイツ・ノルウェー・ポーランド・ルーマニア・ポルトガル・スペイン・デンマーク
- オーストラリア・ニュージーランド
- アメリカ(郡・市により規制)
- カナダ(オンタリオ州)
- エクアドル・プエルトリコ・ベネズエラ
- マレーシア・シンガポール
ピットブルを飼う際の注意点
日本ではピットブルの飼育に関する法的な規制はありませんが、自治体によっては危険な特定犬として飼育・保管に当たって所定の手続きや規定があります。
ピットブルは誰でも飼うことができますが、適切なしつけと飼育方法が必要な犬種です。ここではピットブルを飼う際の5つの注意点を紹介しましょう。
- 飼育する際の注意点①必要に応じてトレーナーをつける
- 飼育する際の注意点②脱走対策を行う
- 飼育する際の注意点③小動物と一緒に飼育するのは避ける
- 飼育する際の注意点④子どもや高齢者と一緒に生活する場合厳重に注意する
- 飼育する際の注意点⑤丈夫なリードや首輪(ハーネス)を用意する
飼育する際の注意点①必要に応じてトレーナーをつける
ピットブルは、家庭での飼育が可能になるようにとくに温和な性格の個体を交配させブリーディングされてきました。しかし、家庭犬として飼育するにはまだ個体によってその性格が大きく違っているため、ピットブルにはしっかりとしたしつけが必要になってきます。
ピットブルはとても賢く訓練性が高い犬種なので、子犬の頃から適切なしつけを行うことで飼いやすくなる可能性があります。ピットブルを飼うときにはしっかりとしたしつけをするために必要に応じてトレーナーをつけることをおすすめします。
飼育する際の注意点②脱走対策を行う
ピットブルは、温和な性格に改良されつつあるとはいえ闘犬の血をひく犬種です。ピットブルによる咬傷事故を防ぐためにも脱走対策を万全に行うことが大切です。
さらに自治体によっては「特定犬」として四方をしっかりとした檻に囲まれた場所で飼うことや「特定犬」のステッカーを張ることなど飼育に関して細かい規定がありますので、ピットブルを飼育するときにはお住いの自治体に確認する必要があります。
飼育する際の注意点③小動物と一緒に飼育するのは避ける
ピットブルは、闘犬として作出されたためたとえ温和な性格の個体であっても本能的に戦うという習性や攻撃性を持っていると考えることが大切です。
とくに小動物などに対しては、スイッチが入ってしまい攻撃性が出てしまうことも考えられるためピットブルを飼う際には小動物と一緒に飼育することは避け、ピットブルだけで飼育するようにしましょう。
飼育する際の注意点④子どもや高齢者と一緒に生活する場合厳重に注意する
ピットブルを飼育する際は、子どもや高齢者だけでピットブルと一緒に過ごすことがないように注意する必要があります。たとえ飼い主の子どもであっても時には攻撃性が現れることがあります。
また、日頃は温厚な性格の個体であっても何かのきっかけで自分よりも大きなものにも襲い掛かることがあります。子どもや高齢者がピットブルと過ごすときは、必ず大人がそばにいるなど注意が必要です。
飼育する際の注意点⑤丈夫なリードや首輪(ハーネス)を用意する
ピットブルはとても筋肉質で高い身体能力を持っています。瞬発力も優れているので散歩の途中でも急に引っ張られることもあるで散歩中にリードが切れてしまわないように革製などの丈夫なリードを用意し、つねにリードが劣化していないかを確認しましょう。首輪やハーネスは強い力で引っ張られてもすぐに切れないものが必要です。
また、首輪はピットブルの首からすり抜けないものを用意する必要があります。さらに噛みつく危険性がある場合は、口輪やマズルなどを用意するとよいでしょう。
【まとめ】ピットブルを迎える場合はしっかりとした知識と覚悟を持ちましょう
ピットブルは個体によって性格や体の大きさに違いがある犬種で、家庭犬として一緒に生活できるように改良されている途中の犬種と考えましょう。そのため、個体によっては闘犬としての資質が色濃く残っている場合もあります。
ピットブルを迎える場合は、ピットブルの特徴や個性などの知識を身に着け、何があっても最後まで一緒に過ごすという強い覚悟が必要です。
また、ピットブルにはしっかりとしたしつけと信頼関係を築くことが重要なので、犬を初めて飼うという人にはおすすめできない犬種です。
危険な犬というイメージが強いピットブルですが、家族に対する愛情はとても強く飼い主が正しい知識と覚悟を持つことでともに過ごすことができるともいえます。