犬を飼いたいと思っても、「犬が吠えると近所迷惑になるかも」と躊躇している方も多いことでしょう。とくに「犬が吠える」ことは、マンションや都心部の住宅に居住している方にとっては大きな問題です。
本記事では、「吠えない犬」を飼いたいと考えている方のために、吠えないといわれている犬種10選と吠えない犬に育てるコツを紹介いたします。
- 吠えない犬の特徴
- 吠えないといわれる犬種10選
- 吠えない犬に育てるコツ
目次 -INDEX-
吠えない犬の特徴は?
「吠えない犬ってホントにいるの?」と、疑問に思う方もいいでしょう。犬を飼いたい方が気になることは、吠えない犬の特徴ではありませんか?
本項目では、吠えないといわれる犬の特徴をくわしく紹介します。
基本的に犬は吠えるということを知っておく
狼を祖先に持つ犬は、基本的には「吠える」という行動で自分の意思を仲間に伝える本能を持っています。そのため、飼い主が、基本的には吠える動物であることを理解することが大切です。
ただ、犬は長い年月人とともに暮らすことで、「吠えないこと」を学んできています。なぜなら犬は人と暮らすことで喜びを感じており、人が喜ぶことを素直に受け入れることができるからです。
愛玩犬といわれる犬種は吠えにくい
「吠えない犬」とされている犬種は、トイ・プードルやパグなど愛玩犬のグループに分類されている犬種です。愛玩犬のグループに属する犬種は、人と一緒に生活することを目的としてブリーディングされているため吠えにくいといえるでしょう。
また、パグやブルドッグなどの短頭種も、吠えにくいといわれています。短頭種の犬は、吠えても鼻が短いため太く低い声で吠えるので気にならないのでしょう。
一般的に吠える犬は、狩猟犬としてのルーツを持つ犬種です。とくに「吠えることで」獲物の位置を知らせたり追い立てたりする犬種は、吠えやすいといわれています。
訓練性が高く飼い主に従順な犬
狩猟犬や使役犬としてのルーツを持つ犬種でも、訓練性が高く飼い主に従順な性質のため「吠えない」ようにしつけることができます。
以前筆者が飼っていたボルゾイはサイトハウンド系という狩猟犬でしたが、しっかりとした訓練がされていたため一切吠えることがありませんでした。狩猟犬や使役犬としてのルーツを持つ犬種は、とても賢く飼い主の意向をくみ取ることができるからでしょう。
おおらかな性格で人懐っこい犬
吠えない犬の特徴として、犬種だけではなく各個体ごとの性格も大きく影響するといえます。一般的に性格がおおらかで人懐っこい犬は、吠えにくいと考えられます。
犬の性格がおおらかで人懐っこいということは、人やものごとに対する警戒心が低いということです。番犬には向かない犬といえますが、人やほかの犬に対する攻撃性が低いため吠えにくいといえるでしょう。
吠えにくい犬種10選
犬は吠える動物ですが、できるだけ吠えない犬を飼育したいものですね。ただ、吠えにくいといわれる犬種には、どのような種類があるのかわからないという方も多いでしょう。
本項目では、とくに吠えにくいといわれる犬種を10選紹介します。
ペキニーズ
性格の特徴 | マイペースで落ち着きがある。頑固な一面もある |
体高 | 20㎝前後 |
体重 | 5㎏前後 |
原産国 | 中国 |
モフモフの被毛と胴長短足が、特徴的なペキニーズ。つねにマイペースな性格をしているため、「まるで猫のよう」と評されることがあります。
ペキニーズはマイペースな性格のため、落ち着きがあり比較的吠え癖がつかない犬種といえます。また、攻撃的な性格ではないため、ペキニーズからほかの犬に吠えたり攻撃したりすることはありません。
そのため、ペキニーズは、吠えない犬を飼いたいという方にはとくにおすすめの犬種といえるでしょう。ただし、ペキニーズは、大変頑固な一面もあるのでしつけをしっかり行うことが大切です。
パグ
性格の特徴 | 明るくおおらか。人懐っこい性格 |
体高 | 25㎝から33㎝ |
体重 | 6㎏から8㎏程度 |
原産国 | 中国 |
愛嬌のあるぐしゃっとした顔立ちが、名前の由来といわれるパグ。マスティフの血を引くともいわれるパグは、強面の顔立ちとは反対に非常に甘えん坊で人懐っこい性格をしています。パグは、「ブサカワな犬」として人気のある犬種です。
基本的にパグは、短頭種のため吠えにくいといえるでしょう。また、パグの吠える声はたいへん太く、「迫力がない」と笑われることもあります。
パグは暑さ・寒さに弱く太りやすい犬種のため、体重管理と温度・湿度の管理が大切になります。また、可愛いからと甘やかすとわがままな性格になりますので、しつけには気をつけましょう。
狆(ちん)
性格の特徴 | 賢くおとなしい性格 |
体高 | 25㎝前後 |
体重 | 3㎏から6㎏ |
原産国 | 日本 |
最近ではあまり見かけなくなった狆ですが、732年に韓国から献上され「犬公方」として知られる徳川綱吉の愛犬としても知られています。
狆は、大変人懐っこく人と一緒にいることを好む犬種です。また狆の性格は穏やかで興奮することなく落ち着いているため、飼い主のそばに寄り添うタイプといえるでしょう。さらに狆は攻撃的な側面はなく、吠えることが大変少ない犬種です。
ただ狆は飼い主と一緒にいることを好むため、長時間のお留守番などは苦手です。また、神経質な一面がありますので、狆が落ち着いて暮らせる環境づくりが大切でしょう。
ボストン・テリア
性格の特徴 | 明朗快活で明るい性格 |
体高 | 28㎝から38㎝ |
体重 | 7㎏から11㎏ |
原産国 | アメリカ合衆国 |
ボストン・テリアは、ブルドッグとブル・テリアを交配させて作出された犬です。アメリカ合衆国原産の犬としては3番目に古い犬種で、ボストン郊外で繁殖されていたため「ボストン・テリア」と名付けられました。
ボストン・テリアは大変明るく陽気で賢いため、しっかりとしつけをすることで吠えにくい犬となります。ただ、非常に繊細で嫉妬深い側面があり、ときに攻撃的な一面が垣間見えることがあるため子どもやほかの犬に接する際は注意しましょう。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
性格の特徴 | 活発で明るく友好的な性格 |
体高 | 31㎝から33㎝ |
体重 | 5.4㎏から8㎏ |
原産国 | イギリス |
キャバリアとして知られていますが、正式名称はキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルです。イギリス原産のキャバリアは、キング・チャールズ・スパニエルの変種として戸外でも飼育できる犬として作出されました。
キャバリアの性格は大変陽気で明るく活発といわれており、争いごとが大嫌いで誰とでも仲良くなることができるでしょう。攻撃性の少ないキャバリアは、ほとんど吠えることがなく非常に飼いやすい犬種として人気があります。
ビション・フリーゼ
性格の特徴 | 人にも犬にもフレンドリーに接する社交的な性格 |
体高 | 25㎝から29㎝ |
体重 | 約5㎏ |
原産国 | フランス/ベルギー |
ビション・フリーゼは、第1次・第2次世界大戦の影響でほぼ消滅しかけた犬種です。大戦後フランスとベルギーの熱心な愛好家の努力によって、個体数が増えることとなりました。
ビション・フリーゼは、ほんとうの意味でのコンパニオン・ドッグとして社交的で明るく活発な性格をしています。知らない人や犬にもフレンドリーに接することができ、神経質で攻撃的な側面がないためほとんど吠えることがありません。ただし、ビション・フリーゼは、誰にでも友好的な態度を見せるため番犬には不向きです。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグ
性格の特徴 | 明るく家族に対する愛情が深い |
体高 | 28㎝から33㎝ |
体重 | 6㎏前後 |
原産国 | 中国 |
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、「ヘアレス」と「パウダー・パフ・バラエティー」の2種類がある被毛の少ない犬種です。チャイニーズ・クレステッド・ドッグは被毛が少ないため暑さ・寒さには大変弱く、飼育するうえで温度管理がとても重要です。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの性格は、穏やかで攻撃的な側面がなく吠えることがほとんどありません。他の犬にも友好的で、嫌なことがあっても攻撃するのではなく内にこもるタイプです。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、飼い主が繊細で感受性の強い一面があることを理解することが大切でしょう。
バセンジー
性格の特徴 | 落ち着いており愛情が深い性格 |
体高 | 牡:43cm 牝:40cm |
体重 | 牡:11kg 牝:9.5kg |
原産国 | 中央アフリカ |
バセンジーは、古代エジプト王朝時代から純血種として存続している大変古い歴史を持つ犬種です。バセンジーは吠えない犬として大変有名な犬ですが、まったく吠えないのではなくヨーデルのような不思議な鳴き声を出します。
バセンジーは、非常に落ち着いており家族への愛情にあふれています。ただ、バセンジーは独立心が強く、知らない人にはよそよそしい態度をとることが多いでしょう。そのためバセンジーは、猫のような性格を持つ犬ともいわれています。
ボルゾイ
性格の特徴 | 落ち着きがあり優雅ですが、狩猟犬の本能を持つ |
体高 | 牡:75から85cm 牝:68から78cm |
体重 | 34㎏から47㎏ |
原産国 | ロシア |
ボルゾイは、15世紀のモンゴル侵略が原点といわれています。ボルゾイは、ロシアでグレーハウンドなど多種の猟犬たちと交配され作出された犬種です。ボルゾイの持つ優美な姿と俊敏性は、ロシアの貴族たちに愛されていました。
ボルゾイは、猟犬の中でもサイトハウンド(視覚によって獲物を探す)と呼ばれています。そのため、散歩中に猫などの小動物を見つけると、追いかけてしまう習性が残っています。
ただ、ボルゾイは、室内では大変おとなしく落ち着きがあります。しっかり訓練されたボルゾイは、無駄吠えをすることなくさりげなく飼い主に寄り添う仕草を見せます。
ゴールデン・レトリバー
性格の特徴 | 明朗快活で愛情深い性格 |
体高 | 58㎝から61㎝ |
体高 | 29㎏から34㎏ |
原産国 | イギリス |
ゴールデンレトリバーの歴史は、ほとんど分からないといわれています。ただ、イギリスで作出されたことは間違いなく、イエロー・レトリバーと呼ばれていた個体がゴールデンレトリバーと呼ばれるようになったといわれています。
ゴールデンレトリバーは、大変となしく賢いことで知られています。ただ、やんちゃな一面もあり、興奮してはしゃぎまわることもあるでしょう。
しっかりとしつけられたゴールデンレトリバーは無駄吠えをすることなく、幼い子どもとも仲良く過ごすことができます。
吠えない犬に育てるコツ
飼い主の中には、「吠えない犬として飼ったのにうちの犬はよく吠えて困る」という方がいるかもしれません。確かに吠えにくい犬種はいますが、飼育環境や育て方で吠えてしまう場合があります。また、吠えやすいといわれる犬でも、吠えないこともあるでしょう。
本項目では、吠えない犬に育てるコツを紹介します。
- 愛犬が「なぜ吠えるのか?」吠える理由を探る
- 愛犬の要求吠えには絶対応じない
- 愛犬が安心して過ごせる環境をつくる
- 愛犬とのスキンシップ・散歩を大切にする
- 子犬のころから吠えないようにしつける
愛犬が「なぜ吠えるのか?」吠える理由を探る
犬は、何の理由もなく吠えることはありません。飼い主にとっては、「無駄に吠えている」と思うことでも犬にとっては大変重要な理由があるのかもしれません。
あまりにも愛犬が吠えるのであれば、愛犬が吠えるときのシチュエーションを観察してください。愛犬が吠える理由がわかることで、それぞれの理由にあった対処方法を見つけることができます。
愛犬の要求吠えには絶対応じない
愛犬が、「散歩に行きたいとき」「ごはんがほしいとき」などに吠えることはありませんか。愛犬が、飼い主に自分がしてほしいことを要求して吠えることを「要求吠え」といいます。
愛犬が「要求吠え」をしたときは、飼い主は毅然として愛犬の要求吠えに応じないことが大切です。一度飼い主が愛犬の要求に応じてしまうと、犬は「吠えると自分の要求が通る」と勘違いします。
また、「散歩に行きたいとき」「ごはんがほしいとき」に愛犬が吠える場合は、散歩の時間やご飯の時間を決めないことも要求吠えをしなくなるひとつの方法でしょう。
愛犬が安心して過ごせる環境をつくる
犬によっては、大変怖がりで警戒心の強い性格を持っている場合があります。とくに怖がりで飼い主以外の人や犬になじめない犬は、怖さのあまり「自分に近づかないで」という思いで吠えてることがあります。
警戒心が強く怖がりな犬の場合は、犬が安心して過ごすことができる「ハウス」や「クレート」などの場所を作ってあげましょう。また、散歩中に人やほかの犬に吠える場合は、立ち止まって「大丈夫だよ」と優しく声をかけることも大切ですね。
愛犬とのスキンシップ・散歩を大切にする
愛犬がストレスをためてしまうことで、本来なら吠えない犬種でもよく吠える犬に育つことがあります。愛犬にストレスがたまらないようにスキンシップや散歩で、愛犬と一緒に過ごす時間を大切にしましょう。
とくに散歩中犬は、飼い主とのアイコンタクトを求めてくることが良くあります。最近では散布中に飼い主がスマホばかり見ている光景がよく見られますが、犬にとってアイコンタクトは大切な飼い主とのコミュニケーションの方法です。少なくとも犬の散歩中はスマホを見ずに、愛犬とのアイコンタクトを大切にしましょう。
子犬のころから吠えないようにしつける
吠えない犬種でも子犬の頃のしつけ次第で、吠えやすくなることがあります。いずれの犬種であっても子犬の頃に、散歩などで社会性を養うことは大変重要なことです。
とくに怖がりな性格の犬は、さまざまな人や犬に出会うことで「大丈夫、怖くない」ということを教えることができます。また、子犬のころから「トリーツ」などのおやつを使って、「吠えることをやめる・吠えなかった」などうまくできたときに思いっきり褒めて落ち着かせるしつけをすることも大切ですね。
おすすめの吠えない犬を参考に自分に合った犬を探そう
犬にとって「吠える」という行為は、古来から受け継いできた本能です。そのため、まったく吠えない犬は、いないといえるでしょう。ただ、犬種によっては、吠えない犬もいます。できるだけ吠えない犬を飼いたい方には、本記事で紹介した10犬種がおすすめです。
ただし、吠えにくい犬種であっても、飼い主が適切に犬と接することができなければ「吠える犬」に育つ可能性があります。愛犬といつまでも快適に暮らすためにも、飼い主は一緒に暮らすためのルールを身につけさせましょう。