ワンワンとよく吠える犬や車・バイクなど動くものを見ると興奮して大騒ぎしている犬を、街中でときどき見かけることはありませんか。興奮しやすい犬の飼育は、飼い主にとって悩みも多く苦労が絶えないことでしょう。
本記事では、温厚な性格の犬種と温厚な性格の犬に育てるポイントなどを紹介していきます。温厚な性格のを飼いたいとお考えの方は、ぜひチェックしてください。
- 温厚な犬の特徴
- 温厚な犬といわれる犬種11選
- 温厚な犬に育てる方法
目次 -INDEX-
温厚な犬にはどのような特徴がある?
人間にも温厚な性格の人が存在するように、温厚な性格の犬も存在します。
個体が持っている性格によるところもありますが、人間に作出された犬の純血種には生来温厚な性格を備えた犬種もあるのです。本項目では、「温厚な犬とはどのような特徴がある犬なのか」を紹介していきます。
人や犬に対して攻撃的ではない
「温厚」という言葉を辞書で調べると、穏やか・優しい・荒々しいところがない・真面目・誠実などという言葉で説明されています。「温厚」という言葉の意味から考えると、温厚な犬はところかまわず吠えたり、理由もなく他犬や人間に噛みつくなどの攻撃性や問題行動がなく、他犬や人間に友好的な犬といえるでしょう。
また、天候の異変や騒音、生活環境の変化などの外的要因にもストレスを感じにくく、いつどんなときでも心穏やかに過ごしている犬は温厚な犬だといえます。
穏やかで優しい性格をしている
穏やかで優しくストレスに強い温厚な犬は、自分の周囲の人や他の生き物に対して気遣いをする心や高い協調性を持っています。
家族が静かに休んでいれば自分も静かに落ち着いて過ごすことができ、飼い主が悲しんだり悩んだりしていれば慰めるようにそっと寄り添ってくれるなど、相手の気持ちを汲み取って行動することができるのです。
子犬のときはどのような犬種でも元気で活発!
「温厚な性格の犬」といっても、子犬の頃はいろいろなモノに興味があり、活発で常に動き回っていることが普通です。
パピーの頃の犬は恐怖心もあまりないので、さまざまなことに興味を持ちいたずらすることも多くあります。ただ、犬種や個体差にもよりますが、1歳から2歳に差し掛かる頃には落ち着いた態度に変化してきます。
温厚な犬といわれる犬種11選
犬の純血種は、犬種ごとに見た目や性格などに特徴があります。そのため犬種の中には、温厚な性格を持った犬も存在します。また、温厚な犬種でも性格には、個体差があることは知っておきましょう。
温厚な性格の犬を飼いたい場合は、事前に犬種的な特徴を知っておくと良いですね。本項目では、温厚な犬といわれる犬種11種について特徴を具体的に紹介します。
パグ
性格の特徴 | 陽気で活発、遊び好き、頑固な一面もある |
体高 | 25センチ前後 |
体重 | 6キロ~8キロ |
原産国 | 中国 |
鼻ぺちゃで深く皺が刻まれた丸い顔が最大の特徴であるパグは、中国原産の小型犬です。愛嬌たっぷりの顔をしていますが、身体付きは筋肉質でがっしりとしています。
パグは陽気で活発に活動し、遊びも大好きで人懐っこい性格ですが、頑固で自立心旺盛な一面もあります。パグは、短頭種なので興奮状態にさせないこと・健康面では呼吸器の病気に気をつけてあげましょう。
シーズー
性格の特徴 | 明るく穏やか、活発 |
体高 | 26.7センチ以下 |
体重 | 4.5~8.1キロ |
原産国 | 中国 |
豊かな長毛が身体全体を覆い気品溢れた佇まいのシーズーは、中国の宮廷で神の使者と呼ばれ皇帝の足を温める仕事を担っていたそうです。シーズーは、濡れたような大きな瞳とまるで菊の花のように見える鼻の周りの被毛が特徴的です。
シーズーは無駄吠えが少なく明るく穏やかな性格ですが、活発な一面も持っています。また、シーズーは被毛が絡まりやすく毛玉もできやすいので、毎日のブラッシングをはじめとしたお手入れが欠かせません。
トイ・プードル
性格の特徴 | 明るく友好的、活発で運動能力が高い |
体高 | 26センチ~28センチ |
体重 | 3キロ前後 |
原産国 | フランス |
日本国内で大変な人気を誇るトイ・プードルは、豊富な被毛のカラーバリエーションのとくるりとした巻き毛が特徴です。
トイプードルは、ぬいぐるみのような見た目の可愛さと賢くしつけがしやすいことや明るく友好的な性格が好まれています。
トイプードルは、抜け毛がほぼなく体重3キロ前後・体高24センチから28センチ程度というサイズ感も日本都市部での住宅事情とマッチしているようです。トイプードルは人間と遊ぶことが大好きで運動能力も高いので、ドッグスポーツにも向いている犬種です。
フレンチブルドッグ
性格の特徴 | 社交的、人懐っこい、甘え上手 |
体高 | 30センチ前後 |
体重 | 8キロ~14キロ |
原産国 | フランス |
フレンチブルドッグは、がっしりとした身体付きとコウモリが羽を広げたようなピンと立った耳が特徴の短頭種です。日本では2000年代に入った頃から人気が高くなり、繫殖数が増加しています。
フレンチブルドッグの愛嬌のある顔や仕草同様、性格も社交的で人懐っこく甘えん坊です。フレンチブルドッグは家族や飼い主には忠実で明るく接しますが、ひとりぼっちでの留守番は苦手です。
フレンチブルドッグは呼吸器疾患が心配されるため、興奮させないよう心掛ける必要があります。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
性格の特徴 | 穏やかで物静か、遊び好き |
体高 | 30センチ~33センチ |
体重 | 9キロ~11キロ |
原産国 | イギリス |
大きな瞳と垂れ耳・シルクのように美しい長毛が特徴のキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、穏やかで物静かな性格から「癒しのスパニエル」とも呼ばれています。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、耳や足・胸元に華やかな飾り毛を持っています。人や他の生き物との協調性も高く寛容で遊びも好きなので、小さな子供とも上手に接することができます。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、心臓疾患に罹りやすい点に気をつけて飼育してあげましょう。
バセンジー
性格の特徴 | 自立心旺盛、愛情深い |
体高 | 40センチ~43センチ |
体重 | 9キロ~11キロ |
原産国 | コンゴ共和国 |
猟犬として仕事をしていたバセンジーは、シャープに引き締まったスリムな身体と長く丈夫な足を持った中央アフリカ原産の犬種です。
バセンジーの被毛はごく短いスムースコートで、アフリカ原産のため寒さに弱く冬場には服を着せるなどの気配りが求められます。猟犬らしく自立心が強い傾向がありますが、飼い主や家族には深い愛情を示します。
バセンジーは運動量も多いので、毎日長めの散歩や自由運動が必要です。
ウィペット
性格の特徴 | 賢く温和、冷静 |
体高 | 44センチ~51センチ |
体重 | 9キロ~13キロ |
原産国 | イギリス |
視覚を使って仕事をする猟犬のウィペットは、空気抵抗を受けにくい美しい曲線を描くしなやかな身体を持ち、同じような大きさの動物の中で最速の脚力を誇ります。
空気抵抗を小さくするための折れた耳とまるでサーベルのような優雅な細長い尻尾も、ウィペットの特徴です。
ウィペットは飼い主に従順で賢く、温和で冷静な性質を持っています。ウィペットの飼育では、運動量の確保と寒さに弱いため冬場には注意が必要です。
ゴールデン・レトリバー
性格の特徴 | 協調性が高い、賢く穏やかで明るい |
体高 | 50センチ~60センチ |
体重 | 25キロ~32キロ |
原産国 | イギリス |
人間と共に作業する鳥猟犬として働くゴールデン・レトリーバーは、協調性が高く賢く穏やかで朗らかな性格をしています。またゴールデン・レトリバーは辛抱強い性格を持つため、盲導犬や聴導犬・警察犬としても活躍しています。
ゴールデン・レトリバーは大型犬ですが、誰に対しても友好的なのでペットとしても世界中で数多く飼育されています。
ゴールデン・レトリバーは、美しく輝く金色の毛並みはダブルコートで密生した防水性の高いアンダーコートを持っているので、長時間の水泳もお手のものです。
ラブラドール・レトリバー
性格の特徴 | 友好的で賢く、遊び好き、大食漢 |
体高 | 55センチ~57センチ |
体重 | 25キロ~34キロ |
原産国 | イギリス |
友好的で知的かつ遊び好きで感受性の高いラブラドール・レトリバーは、盲導犬や警察犬・麻薬探知犬として多方面で活躍する大型犬です。
ラブラドール・レトリバーは食べることが大好きなので、食べ物を利用したしつけはやりやすいです。ただし、食べすぎによる肥満には、注意が必要です。
ラブラドール・レトリバーはがっしりとした体型で力も強いので、しっかりと制御することとたっぷりの運動量の確保が欠かせません。ラブラドール・レトリバーは、運動量や知的好奇心が満たされないといたずらなどの問題行動に発展しかねません。
ニューファンドランド
性格の特徴 | おおらか、優しい |
体高 | 66センチ~71センチ |
体重 | 54キロ~68キロ |
原産国 | カナダ |
ニューファンドランドは、カナダのニューファンドランド島原産の超大型犬です。ニューファンドランドは、泳ぎが得意で、四肢には水かき用の膜があり水難救助犬として活躍しています。
ニューファンドランドは大きな身体同様性格はおおらかで優しく、人や他の生き物にも友好的なのでペットとしても飼育しやすいでしょう。
ニューファンドランドは賢くしつけやしやすいですが、超大型犬で力も強いので周囲に迷惑をかけないよう、しっかりと犬を管理し制御することが大切です。また、ニューファンドランドが病気に罹った場合は、医療費が高額になることも念頭に置いておきましょう。
温厚な犬に育てる方法
温厚な犬種を選んだ場合でも、犬の置かれた環境や育て方によって気性の激しい犬に育ってしまうこともあります。
また、温厚な犬種でも、個体によって性格には違いがあります。本項目では、温厚な犬に育てるための方法について紹介します。
- 多くの経験をさせることで社会性を身につけさせる
- しつけのポイントはうまくできたときに「褒めること」
- ストレスがない飼育環境を心がける
- たくさんの愛情を与える
- 犬の両親の性格を確認しよう
多くの経験をさせることで社会性を身につけさせる
まだ恐怖心が備わっていない生後6か月程度までのパピー期は、多くの刺激を吸収できる可能性に満ちています。
パピーの時期に、さまざまな場所や音・人や他の犬などの生き物・足に触れるモノや匂いなどの刺激に徐々に慣らし、受容性と社会性を身につけさせましょう。社会性が備わっているとストレスにも強くなり、人間社会で共に過ごす上でとても有効です。
しつけのポイントはうまくできたときに「褒めること」
犬と人間がお互いがストレスなく楽しく暮らしていくためには、しつけは欠かせません。しつけは、犬にとって分かりやすく教えてあげることとうまくできたときにタイミングよく「褒めること」がとても重要です。
「褒められているな!」「これでいいんだな!」と犬にはっきり分かるように褒めて、楽しくしつけを教えてあげましょう。
ストレスがない飼育環境を心がける
現代の犬は、多くが室内飼いです。室内飼いであっても部屋の温度や湿度が犬にとって適切でない・清潔な飲み水が用意されていない・足が滑って踏ん張れない床や高低差が大きい段差があるなどの飼育環境が快適でない場合、犬はストレスを感じてしまったり長期的には身体に不具合が出てしまったりします。
飼い主は、犬が安心して快適に過ごせるように飼育環境を整えてあげなければなりません。
たくさんの愛情を与える
人間と共に暮らす犬と良い関係を築くには、言うまでもなく犬にたくさんの愛情をかけてあげることが必要です。
犬の表情やしぐさをよく観察して、犬が喜ぶようなスキンシップをたくさん取ってあげてください。犬に、愛情をこめて言葉をかけてあげることも有効です。たくさんの愛情を与えることで愛犬は幸せを感じ、人間を信頼してくれるようになるでしょう。
犬の両親の性格を確認しよう
子犬を入手する場合には、信頼できるブリーダーから入手することをおすすめします。それぞれの犬種を専門に扱っているブリーダーに、子犬の両親犬をぜひ見せてもらいましょう。
とくに子犬の性格の80%は、母犬の性格の影響を受けるといわれています。穏やかな犬が欲しいと考えていても温厚といわれる犬種の子犬全てが穏やかだとは限りませんので、母犬の性質をよく見極めることをおすすめします。
温厚な犬の特徴を知ることが大切
本記事では、犬を初めて飼う方にも飼いやすい温厚な犬についてご紹介しました。温厚な犬種の中から、母犬の性質を見極めて子犬を選ぶことで理想の犬に出会える可能性が高くなります。
しかしながら犬には個体差があり、必ずしも理想通りとはいかないこともあります。それぞれの犬種の特性をよく理解した上で、育て方やしつけなどを適切に行いたっぷりの愛情をかけてあげることで、温厚かつ最高のパートナーとなってくれることでしょう。