尿路結石は、犬や猫がなりやすい病気の一つです。悪化すると命に関わる可能性もあるので、排尿の様子などには注意して見ておく必要があります。
愛犬には元気に過ごしてほしい人のためにも、どんな治療方法があるのか尿路結石を予防する食事や習慣について詳しくお届けしていきます。
目次 -INDEX-
犬の尿路結石は病気の種類によって食べてはいけないものが異なる
- ストルバイト結石
- シュウ酸カルシウム結石
- 尿酸アンモニウム結石
犬の尿路結石とひとまとめにはいえず、ストルバイト結石・シュウ酸カルシウム結石・尿酸アンモニウム結石といった3つの種類があります。
ストルバイト結石は膀胱内での細菌感染により、尿のpHがアルカリ性に傾くとできやすくなります。シュウ酸カルシウム結石は、ミネラル・ビタミン不足とタンパク質の過剰摂取が要因となり、尿が酸性に傾くと起こりやすくなります。
尿路結石になったと診断された場合、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石が約8割を占めているといえるでしょう。
尿酸アンモニウム結石の場合は、遺伝から起こることが多いですが、肝臓疾患がある時にもできやすいです。
尿路結石は、いずれの病気になっているのかによって与えるべきじゃない食べものが違い、飼い主側はよく注意しておかなければいけません。
犬の尿路結石は、食事・飲水の量など犬が日常的に口にするものが原因になっていることがあります。
食べさせてはいけないものをしっかり把握して、愛犬の健康管理をしましょう。
尿路結石の犬が食べてはいけないもの一覧【病気別】
もし愛犬が尿路結石になった時に、一番気を付けたいのが食べ物で病気の種類によっては食べさせてはいけないものがあります。普段の食生活の中にも、実は食べられないものが混ざっているかもしれません。
尿路結石になった犬が控えたい食べものを、病気の種類ごとに具体的な例をあげて紹介していくのでチェックしておきましょう。
ストルバイト結石の犬が食べてはいけないもの
犬の食事としてタンパク質が多いものを与えすぎることで、多すぎたタンパク質は分解後アンモニアとして発生し、尿がアルカリ性に傾きます。アルカリ性になると尿中のマグネシウムやリンがくっついて結晶を作りやすくするので、ストルバイト結石になりやすいといえます。
本項目では、フードを変えることでも完治しやすいすストラバイト結石の犬が食べてはいけないものを紹介しますので、気を付けて愛犬を健康に導きましょう。
- 高タンパクなもの
- リンを多く含むもの
- 高マグネシウムなもの
- 尿をアルカリ性にするもの
高タンパクなもの
犬の健康に欠かせないのが、タンパク質です。しかし、ストルバイト結石の場合は、控えるべき栄養素なんです。
例えば、ささみジャーキーなどの肉で作られたおやつは、尿がアルカリ性に傾きやすいのでよくありません。犬の大好物なので、ついあげたくなりますが他のおやつを考えましょう。
リンを多く含むもの
リンを多く含む食材にも、気をつけてください。リンは、煮干し・レバー・チーズ・ささみ・卵黄といった食べ物に含まれています。
煮干しやチーズはおやつとして与えている人も多いので、ストラバイト結石と診断されたら見直す必要があります。
高マグネシウムなもの
ストルバイト結石の場合、大豆・魚介類・海藻・ピーナッツといったマグネシウムが多く含まれた食べ物も控えた方が良いでしょう。
普段食べるには健康に良い食材ばかりですが、過剰に摂取しないようにしてください。
尿をアルカリ性にするもの
尿がアルカリ性に傾くと、ストルバイト結石ができやすくなってしまいます。
尿をアルカリ性に傾けてしまう食べものには、昆布・インゲン・椎茸・ほうれん草・バナナ・人参・苺などがあります。
シュウ酸カルシウム結石の犬が食べてはいけないもの
シュウ酸カルシウム結石の場合、、尿中のシュウ酸が増えて尿が酸性に傾き、尿中のカルシウムと結合して起こるので、シュウ酸とカルシウムを抑制することが大事です。
しかし、カルシウムを極端に減らすと尿中のシュウ酸が濃くなり、結石が増えることもあるので摂りすぎないようにするという点に気をつけましょう。
- カルシウムを多く含むもの
- シュウ酸を多く含むもの
カルシウムを多く含むもの
カルシウムは、牛乳やチーズといった乳製品、豆腐などの大豆製品にも含まれています。また、干しエビやししゃもなどの魚介類にも含まれているので気をつけましょう。
野菜の中でも、小松菜やモロヘイヤにはカルシウムが入っているので気をつけてください。
シュウ酸を多く含むもの
シュウ酸を多く含むものには、野菜が多くあります。具体的な野菜をあげると、ほうれん草・キャベツ・ブロッコリー・さつまいも・小松菜・大根・カブなどです。他にも、バナナやピーナッツにもシュウ酸が含まれています。
シュウ酸は3分ほど茹でると減らすことができるので、与える時は一手間かけてあげると良いでしょう。
尿酸アンモニウム結石の犬が食べてはいけないもの
尿酸アンモニウム結石は、遺伝が原因の場合が多いといわれています。
通常、プリン体は尿酸に分解されて排出されますが、遺伝でプリン体の代謝能が低い犬種だと分解しきれず、尿中の尿酸アンモニウムが増え結石ができやすくなります。
尿酸アンモニウム結石の犬は、プリン体が含まれる食べものはなるべく避けましょう。
- プリン体を多く含むもの
プリン体は幅広い食材に含まれており、はまぐり・鯖・鮭・いわし・ホタテ貝・マグロ・哺乳類や魚類の肉汁・心臓・腎臓・肝臓などを与えることは避けてください。
ダルメシアンやパグやブルドッグといった犬種は、尿酸アンモニウム結石が起こりやすい遺伝を持つためとくに要注意です。
愛犬が尿路結石になった時の治療方法は?
愛犬が尿路結石になった場合に、どのような治療方法があるか知っておきたいところです。
同じ尿路結石だったとしても、病気の種類によって治療方法も変わってくるので、それぞれの治療法を詳しく紹介していきます。
【愛犬の尿路結石】ストルバイト結石の治療方法
基本的にストルバイト結石は、療法食で完治させやすいと言われている病気です。
ストルバイト結石の犬が食べてはいけないもの極力与えず療法食を利用することで、治療していきます。療法食を与えることで、尿の酸性度を調整しながら結石を溶かしていく効果が期待できるでしょう。
もし、尿の細菌感染が原因の場合は、抗生剤も一緒に服用していきます。ただし、症状が酷かったり食事や薬で治らなかったりする場合は、外科手術によって結石を取り除きます。
【愛犬の尿路結石】シュウ酸カルシウム結石の治療方法
シュウ酸カルシウム結石がなぜできるのかは、まだ解明されていません。シュウ酸カルシウム結石は、まだ結晶の状態だったり小かったりすれば、尿中から排出させられる可能性もあります。しかし、基本的に食事の改善や薬などで溶かせないため、外科手術で取り除いて治療するケースがほとんどです。
シュウ酸カルシウム結石は再発が非常に多く、術後から3年ほどで3割〜5割程度の犬が再び病気になっているという厄介な病気です。結石を摘出した後は、再び病気が起こらないように、食事に気をつけることが重要になってきます。
【愛犬の尿路結石】尿酸アンモニウム結石の治療方法
尿酸アンモニウム結石の治療方法は、状態が酷くなければ結石を溶かす療法食で回復することができます。抗生物質などの薬を飲んで治療していく場合もありますが、症状が酷い場合は手術で摘出していきます。
根本的な改善が難しく再発する可能性が高いため、術後も食べものには注意しておきましょう。
肝不全が原因で結石ができることもあり、まず基礎疾患の治療を点滴や抗生物質などを使って行います。肝臓の機能が改善されると、尿酸アンモニウム結石は自然に回復に向かう場合がほとんどです。
犬の尿路結石を予防する食事管理のポイント3つ
愛犬が尿路結石になると、好きな食べ物を制限されたり嫌な薬を飲まなくてはいけなかったりと辛い思いをさせてしまいます。もちろん、手術となると、身体にも大きな負担となります。
健康を維持してずっと元気でいてもらうためにも、尿路結石を予防するための食事管理について知っておきましょう。
尿路結石を予防しやすい食事管理のポイントは、以下の3つです。
- バランスの良い食事
- 適切な水分摂取
- 療法食・専門のフードを取り入れる
バランスの良い食事
尿路結石を引き起こす原因には、食事も大きく関係しています。ドッグフードを選ぶ時は、栄養素が偏っていないものを選びましょう。
とくにカルシウム・マグネシム・ビタミンなど、それぞれの栄養素がバランスよく摂取できるものを食べさせてください。
また、おやつを過剰にあげてしまっている可能性もあるので、一度見直してみましょう。ジャーキーやチーズなどを多くあげている場合は、他のおかしを検討するのも良いかもしれません。
適切な水分摂取
水を飲んでよく排尿すると膀胱の中に尿が貯まりにくくなり尿石が作られるのを予防できるので、水分はしっかり摂れるようにしておきましょう。
水をあまり飲んでくれないのであれば、ドッグフードに水を少量加えてみたり、水に味付けをすると飲みやすくなるので工夫してみてください。なかなか水を飲まないワンちゃんは、ドライフードをふやかしたりウエットフードを与えるのもいいかもしれません。
また、水分補給だけでなく、トイレがすぐにできる環境作りも大切です。外じゃないとおしっこをしてくれない場合は、散歩を増やすようにしてあげましょう。
療法食・専門のフードを取り入れる
飼い犬がこれまでに尿路結石になったことがあるご家庭では、再発を予防するためにも食事に気をつけましょう。病気の種類に合わせて、効果的な療法食を与えるようにしてください。
これまでに尿路結石になった経験がなくても、心配だからと療法食を食べさせたい人もいるかもしれません。しかし、療法食は、健康な犬が食べるには塩分が高すぎる可能性があるので注意です。
どうしても食べさせたいときは、動物病院に相談するか尿石症の予防に特化したドッグフードも販売されているので検討してみると良いでしょう。
犬の尿路結石を防ぐための生活習慣
犬の尿路結石の原因は食事だけでなく、日頃の生活習慣にも気をつけたいポイントがあります。
尿路結石を防ぐために大事な生活習慣を3つ紹介していくので、改善すべきところがないかを検討する際の参考にしてください。
日常的な運動が必要
尿路結石だけでなく、どんな病気も運動不足が原因の場合が多いといえます。運動不足から肥満になると結石が作られやすくなってしまうので、日頃から散歩に行って運動するようにしましょう。
また、尿路結石ができる犬は、免疫力が落ちていることも多いです。免疫力をあげるためには、やはり散歩などで運動をして健康維持を目指してください。
とくに大型犬は、一日に1回の散歩では物足りないので朝と夕方の2回に分けて運動させると良いでしょう。
愛犬がストレスを抱えていないかチェック
- あくび
- 目をそらす
- 舌なめずりをする
- 呼吸が速い
- よく吠える
愛犬にストレスが溜まると、体の免疫力が下がってしまい尿路結石を起こしやすくなってしまいます。
犬に軽度のストレスが溜まっている場合は、あくびをする・目をそらす・舌なめずりをするなどの様子が見られます。そして、重度になると呼吸がいつもより速かったり、よく吠えるようになったりします。
ストレスが強くなると、水を飲んでくれなくなるためトイレの習慣が乱れ、尿路結石を引き起こすので注意です。愛犬の行動が普段と違う場合は、早めに生活を見直しましょう。
飼育環境の見直し
飼い犬にとって、トイレ環境が整っているか見てみましょう。おしっこを我慢することは、細菌が増殖したり、ミネラル濃度が高くなったりして尿路結石の原因に繋がります。
愛犬がいつでも好きなタイミングでトイレに行けるようにしておくのも、犬の尿路結石を防ぐ予防に繋がります。
トイレシートは、できれば静かで暗い場所に設置し、こまめに取り替えてください。一度おしっこをしたペットシートだと、嫌がってトイレを我慢する可能性があるので清潔を心掛けましょう。
愛犬の尿路結石で食べてはいけないものを理解しよう
犬に多い病気の一つ尿路結石について、詳しくお届けしましたがいかがでしたか?尿路結石は、遺伝の場合もありますが食事が原因となるケースが多いです。
今回紹介した食べてはいけないものをよく見て、普段の食生活を見直しされてみませんか?
尿路結石は治療をしても再発する可能性もあるので、一度なったら気をつけてください。水分補給や飼育環境も再度確認して、愛犬が長く健康でいられるように支えてあげましょう。