世界にはさまざまな犬種が存在しますが、国際畜犬連盟に公式に登録されている犬種は世界で約350犬種です。
そのうち日本のケネルクラブに登録されているのは約130犬種で、国内ではほとんど目にすることのない珍しい犬種もたくさんいることがわかります。
この記事では愛犬家であれば一度は触れ合ってみたい、一緒に生活してみたいと憧れてしまう珍しい犬種をご紹介します。
珍しい犬種の魅力とは
珍しい犬種をお迎えすることは簡単ではありません。それでもその希少性と個性あふれる外見や性格に魅了されてしまいます。
犬種を知ることは、新たな驚きと発見の連続です。希少犬種には具体的にどんな魅力があるのかみていきましょう。
犬のルーツや特徴を知る楽しみがある
珍しい犬種のルーツや特徴を知ることは、飼い主にとって犬種を理解する楽しみを与えてくれます。
原産国でどのように発展し、異なる特徴をもって進化してきたかを知ることにより国の歴史や文化もより理解できます。
犬種を理解しようという気持ちで生活を共にしていくことで、ワンちゃんと特別な絆を作れるでしょう。
珍しい犬種を迎えたからこその苦労もまた楽しい
珍しい犬種を迎えてから困ったことがあった場合、周りに相談できる人がいないという悩みがでてくることがあります。
自分で勉強して知識を深めるという楽しみもありますが、SNSを利用して同じ犬種を飼っている飼い主さんと交流してみましょう。
同じ悩みを共有したり、アドバイスや情報交換できる楽しみがうまれます。
珍しい犬種を迎えたからこその苦労もありますが、同じ犬種の飼い主同士のコミュニケーションはワンちゃんとの生活をより豊かで楽しいものにしてくれます。
珍しい犬種を迎える方法
珍しい犬種をお迎えする場合は、ペットショップで見かけることはほとんどありません。インターネットなどで専門のブリーダーを探すことになるでしょう。
珍しい犬種はブリーダーの数も少ないので、遠方からお迎えすることになったり、子犬が生まれるまで待つこともあります。
日本国内でブリーダーが見つからない場合は、海外から輸入することになります。輸入する際は、日本で輸入代行サービスを利用するのがおすすめです。
輸入代行業者はネットでも探すことができます。ブリーダーとのやり取りや書類の作成、各種申請、検疫期間に関する手続きを代行してもらえます。
大型の珍しい犬種5選
珍しい犬種の大型犬をご紹介します。大型犬は存在感も抜群なので、珍しい犬種ならどこへ連れていっても注目の的ですね。
大型犬は運動量も多く、猟犬や使役犬などの役割をもっている場合が多いです。しっかり運動できる環境を整えてあげましょう。
大型の珍しい犬種①アフガン・ハウンド
体高 | オス:68~74cm メス:63~69cm |
体重 | オス:23~27kg メス:23~27kg |
原産国 | アフガニスタン |
被毛の色 | ブラック、クリーム、レッド、フォーン、ゴールデン、チンチラ、ホワイト、グレー ブリンドル(差し色のある2色)、トライ・カラー(白・黒・黄褐色の3色) |
アフガニスタンが原産のサイトハウンドで、時速50キロ以上のスピードで走ることができる狩猟犬です。
ペットとしてのアフガンハウンドは見た目を重視したショータイプで、長く伸びた美しい被毛がドッグショーで人気です。
穏やかな性格ですが、独立心が強く自分の意にそぐわない命令には従わないという頑固さがあります。あまり感情を表に出しませんが、飼い主に対しては愛情深く接します。
人間の指示よりも自分で考えて動くタイプの犬種なので、しつけは難易度が高いです。トレーニングの知識のある、大型犬の扱いに慣れた飼い主さんに向いている犬種です。
アフガン・ハウンドの写真
長く美しい被毛がゴージャスで魅力的な犬種ですね。この美しい被毛をキープするためのお手入れは必須です。
まるでスーパーモデルのように見栄えのするアフガンハウンドは連れて歩くだけで注目されます。
大型の珍しい犬種②サルーキ
体高 | オス:58~71cm メス:56~68cm |
体重 | オス:18~30kg メス:16~28kg |
原産国 | 中東 |
被毛の色 | ホワイト、クリーム、フォーン、ゴールド、赤茶、トライカラー、ブラック&タン、ブリンドル |
純血種として最古の犬種ともいわれているサルーキの歴史は7000年までさかのぼると言われています。
原産である中東全域を遊牧民とともに移動した狩猟犬で、足が早く運動量も多めです。
引き締まった体に絹状の滑らかな短毛と、耳や尻尾の優雅な飾り毛(フリンジ)が、オリエンタルな雰囲気で美しい外見をしています。
性格は穏やかで飼い主に対しては忠実ですが、自立心が旺盛でやや集中力に欠けるところがあります。
プロのドッグトレーナーのアドバイスを受けながらしつけは根気よく行いましょう。
サルーキの写真
スラリと伸びた長い脚と大きな眼が魅力的な、まさにフォトジェニックな犬種です。
中東が原産国なのでどこかオリエンタルでミステリアスな雰囲気があります。
大型の珍しい犬種③ブービエ・デ・フランダース
体高 | オス:62~68cm メス:59~65cm |
体重 | オス:35~40kg メス:27~35kg |
原産国 | ベルギー/フランス |
被毛の色 | グレー、ブラック、ブリンドル |
ベルギーのフランダース地方が原産の牧羊犬です。主に牛追いや荷車をひく仕事をしていました。
日本では馴染みのある「フランダースの犬」のパトラッシュのモデルになった犬種とも言われています。
胴は短めで、がっしりとした筋肉質な体つきに、カールした被毛が特徴です。口周りの被毛がひげのように伸びて、愛嬌のある顔つきをしています。
優しく温厚な性格で愛情深いので、高齢者や小さな子どもとも上手に接することができるでしょう。
ただ、家族以外の人間には警戒心を持ちやすいので、子犬のころから家族以外の人間や生活音などに慣れさせておく必要があります。
ブービエ・デ・フランダースの写真
モコモコの毛並みにつぶらな瞳が愛らしいです。子猫ちゃんにとっては頼りになるボディガードでしょうか。
フランダースの犬とはすこしイメージが違いますが、優しい瞳はまさにパトラッシュのようですね。
大型の珍しい犬種④ジャーマン・ショートヘアード・ポインター
体高 | オス:62~66㎝ メス:58~63㎝ |
体重 | オス:25~32㎏ メス:20~27㎏ |
原産国 | ドイツ |
被毛の色 | レバー(ブラウン)の単色 、基本の色に胸や脚にホワイトの斑 、 基本の色に胸や脚にレバー(ブラウン)の斑 |
優秀な狩猟犬の能力を重視して改良されてきたドイツ原産の狩猟犬です。
体脂肪がほとんどなく、引き締まった均整のとれた体つきをしています。
狩猟犬としての本能をしっかり持っていて、運動量もかなり多いです。
家庭犬として飼育する場合はドッグスポーツや追跡ゲームなどで、狩猟本能を満たしてあげる環境を作ってあげるとよいでしょう。
明るく社交的な性格で、知能が高くトレーニングも喜んで受け入れます。
飼い主がリーダーシップをとれないと主従関係が逆転しやすいので、プロのドッグトレーナーのアドバイスをうけながらしつけを行うことをおすすめします。
ジャーマン・ショートヘアード・ポインターの写真
走る姿は優秀な猟犬そのものでかっこいいですね。
かと思ったらボールを咥える可愛らしい姿もみることができます。
運動量が多いのでしっかり走らせてあげられる環境が必要です。
大型の珍しい犬種⑤チェコスロバキアン・ウルフドッグ
体高 | オス:65cm以上 メス:60cm以上 |
体重 | オス:26kg以上 メス:20kg以上 |
原産国 | チェコスロバキア |
被毛の色 | 黄色っぽいグレー、シルバー・グレー、ダーク・グレー |
1950年代にジャーマンシェパード・ドッグとオオカミを交配させて作出されました。
国際畜犬連盟で正式に公認されているウルフドッグの2犬種のうちの1犬種です。
外見や毛色はオオカミにとてもよく似ていますが、オオカミの性質をなるべくおさえるように改良をされてきたので、従順な犬の性質を受け継いでいます。
信頼関係が築ければ最高のパートナーとなりますが、身体能力が高く警戒心もあるので子犬の頃からしっかりとトレーニングしましょう。
主従関係が逆転すると手に負えなくなることもあるので、飼い主さんのリーダーシップは不可欠です。
チェコスロバキアン・ウルフドッグの写真
外見はまさにオオカミでかっこいい犬種です。飼い主さんを信頼していると優しい目になるのが印象的です。
自然の風景での写真はとても雰囲気がでますね。性格は穏やかでもオオカミの本能が残っていることを忘れないようにしましょう。
小型の珍しい犬種5選
小さくても個性豊かで魅力的な、小型犬の珍しい犬種をご紹介します。
体格が小さいので扱いやすく、大型犬よりも飼育環境が整えやすいのがメリットです。
活発で遊び好きなコが多いので、お散歩や運動はしっかりさせましょう。
小型の珍しい犬種①プラシュスキー・クリサジーク
体高 | オス:21~23cm メス:21~23cm |
体重 | オス:2.6kg前後 メス:2.6kg前後 |
原産国 | チェコ共和国 |
被毛の色 | ブラック&タン、イエロー、ブラウン&タン、レッド、メルレ(ブチ)、ブルー&タン、パープル&タン |
チェコ原産の小型犬で大きさはチワワほどしかありませんが、筋肉質な体つきをしていてとても活発です。
被毛のタイプはなめらかな短毛のスムースと、ロングヘアの2種類があります。
性格は陽気で社交的なので多頭飼いにも向いています。家族に対しては愛情深く、家族を守るために見知らぬ人に向かっていくこともあるので注意しましょう。
勇敢で物怖じしないので、自分よりも大きな動物にも果敢に挑んでいきます。
寂しがり屋でつねに家族と一緒にいたいので、お留守番は苦手なことが多いです。
プラシュスキー・クリサジークの写真
まるで小鹿のように愛らしい犬種です。こう見えて勇敢なので優秀な番犬にもなります。
振り向きざまにうるうる見つめられるとなんでも許したくなってしまいますが、小型犬特有の気の強さもあるので甘やかしすぎは禁物です。
小型の珍しい犬種②スムース・フォックス・テリア
体高 | オス:34~40cm メス:32~39cm |
体重 | オス:7.5~8.5kg メス:6.5~8kg |
原産国 | イギリス |
被毛の色 | ホワイト、ホワイト&タン、ブラック&タン |
キツネを狩るための狩猟犬として改良されたフォックステリアは、小型犬ながら大型犬なみのパワフルさを備えた犬種です。
テリア気質をしっかり持っているので、好奇心旺盛で興奮しやすく闘争心も持ち合わせています。
一筋縄ではいかないところがあるので、テリアの気質を理解してしつけができる飼い主さんに向いています。
性格は明るく友好的で、従順です。飼い主さんがしっかりコントロールすることで最高のパートナーとなるでしょう。
恐いもの知らずで勇敢なので番犬としても優秀な犬種です。
スムース・フォックス・テリアの写真
大きな耳とどこか憂いのある表情がかわいいです。
でも一度スイッチがはいると、いっきにパワフルになります。
十分に運動させることで落ち着いた性質を引き出すことができます。
小型の珍しい犬種③チャイニーズ・クレステッド・ドッグ
体高 | オス:28~33cm メス:23~30cm |
体重 | オス:4.5~5.5㎏ メス:4.0~5.5㎏ |
原産国 | 中国 |
被毛の色 | ホワイト、ホワイトを基本に差し色 |
アフリカから中国へ渡ったヘアレスドッグがルーツと言われています。
細身の引き締まった体に頭部と耳、足先、尻尾に絹状の毛が生えていて、それ以外の部位は無毛というユニークな外見です。
まったくの無毛ではなく産毛のような毛が生えているタイプや、全身に毛の生えているパウダーパフと呼ばれるタイプもいます。
性格は明るく温厚で、攻撃性はほとんど見られません。内向的でシャイな面もあるので、子犬のうちからいろいろな経験をさせておくとよいでしょう。
夏の日差しはもちろん、冬の寒さにも弱いです。皮膚は乾燥や湿気にも注意しなければなりません。季節ごとの皮膚のケアをしっかり行う必要があります。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの写真
見れば見るほど不思議な魅力のある犬種です。絹状の飾り毛がおしゃれでスタイリッシュな印象があります。
トリミングの必要はなくお手入れは楽そうですが、皮膚はとても繊細なのでしっかりケアしてあげましょう。
小型の珍しい犬種④ブリュッセル・グリフォン
体高 | オス:25㎝前後 メス:25㎝前後 |
体重 | オス:3.5kg~6kg メス:3.5kg~6kg |
原産国 | ベルギー |
被毛の色 | レッド、レッドにブラックやホワイトの僅かな差し色 |
小さな体にやや大きめの頭部、つぶれた鼻とフサフサした被毛が個性的な外見です。
日本ではSF映画のキャラクターのモデルとなった犬種として知っている方がいるかもしれません。
特徴的な口ひげが気難しそうな印象を受けますが、性格は明るく人懐こくて社交的です。
攻撃性は見られず、子どもや他のワンちゃんやペットにも友好的に接します。とくにドッグランなどでは他のワンちゃんとはしゃいで遊ぶのが大好きです。
鼻の短いブリュッセル・グリフォンは暑さに弱く熱中症になりやすいので、夏の温度管理や遊びには十分注意をしてあげましょう。
ブリュッセル・グリフォンの写真
つぶれた鼻と愛らしい瞳が魅力の犬種です。SWのチューバッカのモデル犬と聞いて納得ですね。
性格が穏やかで飼いやすいのでこれからもっと人気が出そうな犬種です。
小型の珍しい犬種⑤パーソン・ラッセル・テリア
体高 | オス:34~38cm メス:31~35cm |
体重 | オス:5~8kg メス:5~8kg |
原産国 | イギリス |
被毛の色 | ホワイト、ホワイトに斑(イエローかブラック) |
よく似ている犬種にジャック・ラッセル・テリアがありますが、パーソン・ラッセル・テリアの方が足が長めでスラリとした体形をしています。
興奮しやすいといわれるテリア種の中では比較的落ち着いた性格で、明るく社交的で愛情深いです。
知能が高いのでしつけやトレーニングもそれほど難しくはありません。
ただテリアの気質を意識して飼い主さんはしっかりリーダーシップをとるようにしましょう。
身体能力もとても高い犬種なので、アジリティなどのドッグスポーツの参加がおすすめです。
飼い主さんとの信頼関係をしっかり築けますし、パーソン・ラッセル・テリアは最高の相棒となります。
パーソン・ラッセル・テリアの写真
外見のよく似たジャック・ラッセル・テリアとは親戚のような関係の犬種です。
ホワイトの基本色に模様が入るのが犬種の特徴で、個性的な模様を楽しむこともできますね
珍しい犬種を迎える時に気をつけたいポイント
珍しい犬種を迎え入れるということは大変魅力的ですが、気を付けたいポイントもあります。
迎え入れてからこんなはずではなかったと後悔しないように、しっかりと準備をしてから迎えるようにしましょう。
性格や特徴を十分に理解する
犬種にはそれぞれの特性があり、性格や性質が違います。
多く飼われている犬種ならだいたいの性格や特徴の情報が入手できますが、珍しい犬種では情報が不十分なことがあります。
犬種を理解するには、犬種のルーツと何を目的に改良されてきたかをしっかり知っておくといいでしょう。
また、犬種を理解したうえで、迎え入れたあとの困りごともシミュレーションしておくと、実際トラブルがあっても対処できます。
適切な飼育環境を用意できるのか十分確認する
日本であまり見られない珍しい犬種は飼育の難易度が高いことが多いことを理解しておきます。
必要な運動量の確保、被毛のお手入れやケア、トレーニングなどに時間や手間をかけられないと飼育は難しいです。
快適な飼育スペースの確保や温度管理などで光熱費がかかることなども含めて、適切な飼育環境を用意できるのかを家族でしっかり確認しておきましょう。
専門家や情報が少ないケースも多い
メジャーな犬種とは違い、珍しい犬種は専門家や詳しい情報が少ないケースがあります。
もし迎え入れたい犬種が決まっているなら、自分で勉強する以外にもSNSを通じて実際に飼育している方に連絡をとってみることをおすすめします。
もし愛好家のコミュニティやクラブがあればぜひ参加してみるとよいでしょう。
情報を共有することで犬種への知識も深まり、お迎えする前に必要な準備を整えることができます。
【まとめ】珍しい犬種
実際に珍しい犬種を迎え入れたいと思うと、犬種に対する深い愛情と情熱がなければ簡単ではないかもしれません。
お迎えすることは難しくても珍しい犬種に会ってみたいと思ったら、一般の方でも見学できるドッグショーに足を運んでみることをおすすめします。
ここで紹介した犬種以外にも魅力的な珍しい犬種をたくさん会うことができます。
詳しくはJKCの公式サイトからスケジュールを確認してみてください。