グレートピレニーズは大きな頭に小さめのたれ耳、巨体でありながら優雅な動きが魅力の超大型犬です。
大型犬が好きな方なら、一度は憧れる犬種ではないでしょうか。優し気な雰囲気から、飼いやすそうと思われる事が多いです。
グレートピレニーズは愛情深く、素晴らしい気質を持っています。しかし、初心者向きではなく、飼い主を選ぶ犬種でもあります。
ここではグレートピレニーズの魅力と、性格や飼い方のコツなどをご紹介します。
目次 -INDEX-
グレートピレニーズの基本情報
歴史
グレートピレニーズの起源は6世紀頃に、アジアの遊牧民が連れていたチベタン・マスティフ系の犬が祖先といわれています。
フランスのピレネー山脈でオオカミや熊から、家畜を守る牧羊犬でした。
17世紀になり、フランスのルイ14世がグレートピレニーズを大変気に入り、「王家の犬」として大切にされました。宮廷ではマリー・アントワネットの護衛犬としても活躍します。
その後、山岳地帯でオオカミや熊の減少により牧羊犬としての役割も少なくなっていきます。人気も徐々に低下していき、ついには絶滅の危機に瀕します。
一部の愛好家は山岳地帯でわずかに残ったグレートピレニーズを繁殖、改良します。そうした努力によって絶滅を逃れることができました。
犬種名の「グレート・ピレニーズ」は日本やアメリカでの呼び名です。ヨーロッパでは「ピレニアンマウンテンドッグ」と呼ばれます。
大きさ(サイズ)
- オス
- 体重 50~60kg
- 体高 70~80cm
- メス
- 体重 40~50kg
- 体高 60~70cm
オスはメスよりもひとまわり大きく、がっしりとした体つきをしています。体長は体高よりも長めで、白くて豊かな被毛をしているのでとても迫力のある外見をしています。
超大型犬なので、生後3カ月の時点で、10kgほどの重さになります。成長がとてもゆっくりなので、成犬になるまでにおおよそ2年かかります。
寿命
小型犬に比べて大型犬は寿命が短い傾向があります。グレートピレニーズの寿命は10~12年と、大型犬の平均です。最近では獣医学の発達や飼育環境の改善により、15年以上長生きすることもあります。
超大型犬であることを考慮して、老犬介護についても考えておく必要があります。介護は家族全員のサポートが必要になり、とても大変です。
元気なうちからシミュレーションをしておくことで、心構えをしておきます。
そして、なるべく健康寿命を伸ばせるように、若いうちからケアをしていきましょう。
グレートピレニーズの性格
穏やかで愛情深い
信頼している家族には優しく素直で、とてもおだやかです。愛情表現も豊かで、大きな体で全身を使って甘えてきます。
常に家族のことを気にかけて、子どもともよく遊びます。物静かで無駄吠えは少ないです。
オスよりもメスの方がよりおだやかで優しい性格をしています。興奮したりするとオスは攻撃的になりやすいので、飼い主がしっかりコントロールできるようにしましょう。
早めの去勢手術などで、オスとしての闘争心を抑えておくことも有効です。
防衛意識が強く、自立心がある
家族以外の見知らぬ人を警戒することがあります。護衛犬として家畜や家族を守っていた犬種が持つ気質です。
家族を守るためには危険を恐れない勇敢さもあります。洞察力があり、自分で判断して行動するので、飼い主の言動を先読みしたりします。
警戒心の強さは、日常生活の中で好ましくない場合もありますので、子犬のうちに飼い主以外の人や来客に慣れさせておく必要があります。
近年では家庭犬としての繁殖がすすみ、本来持つ警戒心が薄められているともいわれます。しかし、完全になくなっているわけではなく個体差があります。
忍耐強く、おおらか
喧嘩を好まず、平和的な性格をしています。小さな子どもに対しての忍耐力とおおらかさがあるので、うまくやっていけます。他の犬や動物に対しても友好的なので、多頭飼いにも向いているでしょう。
優しい性格ではありますが、体が大きく力もあります。子どもや他の犬と接触するときは、いつでも飼い主が犬をコントロールできるようにしておきましょう。少しじゃれたつもりでも、大けがにつながる場合があります。
グレートピレニーズに必要な運動量
活発で遊び好きなグレートピレニーズはしっかりと運動させて、ストレスをためないようにします。1日2回、それぞれたっぷりと1時間以上の散歩をおこないましょう。
家ではボール遊びや、ロープの引っ張りっこなど、飼い主とコミュニケーションをとれる遊びがおすすめです。おもちゃを隠して探させるなど頭を使う遊びも、ストレス発散にもなるので、ぜひ取り入れてみてください。
グレートピレニーズは成犬になると、散歩を億劫がることがあります。肥満にさせないためにも、散歩のモチベーションをあげる工夫が必要になってきます。時々ドッグランなどで自由に走らせてみるなど、変化をつけてあげるとよいです。
グレートピレニーズの飼い方
ポイント1 子犬のうちから徹底した服従訓練をしましょう
成犬になった時の体重は50~60kgにもなります。力でのコントロールが難しくなってからでは、大変です。しつけを始めるのに早すぎることはありません。扱いやすい子犬のうちに、お家に迎え入れた当日から始めましょう。
難しいことを教える必要はありません。基本的な服従訓練を徹底します。甘噛みから始まる噛み癖と、飛びつきは大事故に繋がりますので、早いうちに直します。
グレートピレニーズは家庭犬としての素晴らしい気質を持っています。しっかりとしつけられると、とても飼いやすくなります。
ポイント2 適切な飼育環境を整える
グレートピレニーズは大型犬の中でも規格外の大きさといえます。ゴールデンレトリバーでさえ、一緒に並ぶと小型犬に見えるほどです。
そうなると飼育スペースは、かなり余裕をもってつくる必要があります。大量の毛も抜けるので、床は掃除しやすいようにしましょう。また、大型犬は骨と関節が弱いので、滑りにくい床材を使用します。
排泄物も多く、普通のトイレでは受け止めきれないことがあります。ビニールシートや木枠などを使って手作りをする人もいます。
大型犬の用品を扱うネットショップも充実していますので、そちらで探してみるのもよいでしょう。
子犬といえど、いたずらはかなりパワフルなものになります。落ち着くまでは2年ほどかかるので、いたずら防止の対策は徹底してください。
いたずらという可愛らしいものではなく、破壊されるという表現がぴったりです。
ポイント3 熱中症に気をつける
グレートピレニーズは寒冷地で活躍する牧羊犬でした。そのため、寒さにはとても強く、夏の暑さはとても苦手です。
日本の夏は特に過酷なものになります。飼育スペースにエアコンの設置は必須です。夏は24時間の温度管理が必要になるでしょう。
エアコンだけでなく、いつでも体が冷やせるように、ペット用の冷却シートを用意したり、タイルや大理石などを敷くといった工夫も必要です。
夏の間だけ毛を短くする「サマーカット」をすることもあります。この時にあまり短くしすぎないようにします。長い被毛は紫外線やノミ、ダニから皮膚を守ってくれる役割があります。
サマーカットにはメリット、デメリットがあります。動物病院やトリマーさんとよく相談して決めるとよいです。
グレートピレニーズのかかりやすい病気・疾患
股関節形成不全
大型犬は短い期間に体が大きく成長するため、骨や関節に問題のあることが多いです。股関節形成不全も大型犬によくみられる疾患で、関節部分の骨が変形することによって起こります。
症状は腰を左右に振りながら歩く「モンローウォーク」や、ふらついたり、お座りの姿勢を保てず横座りをしたりします。ソファや車などに自力で乗れなくなったり、歩くこと自体を嫌がるようにもなります。
早期発見、早期治療が重要になりますので、普段から歩き方や行動などを注意深く見ておきましょう。
胃捻転
何かしらの原因により、胃がねじれてガスが溜まることによっておきる疾患です。胸の深い大型犬に多く、短時間で悪化するため早急に治療する必要があります。
食後に何度も吐くようなしぐさを見せたりします。胃の中のガスが溜まってくるとお腹が膨れて、立っていられなくなりショック状態におちいります。その後、他機能不全により死に至るおそろしい疾患です。
治療は胃の中のガスをぬく外科手術になります。緊急を要するので、夜間でも急患を受け付けてくれる病院をあらかじめ探しておきましょう。
食中食後に激しく動くことで発症しやすいです。早食いをさせない、食器の位置を高めにする、食後の散歩や運動はさせないなどの対策をする必要があります。
骨肉腫
大型犬~超大型犬に多くみられる悪性腫瘍です。6歳以上で発症することが多く、前脚にできやすいです。
症状は骨の部分に腫れやしこりができて、触ると嫌がります。脊髄にできると麻痺なども起こります。肺への転移が多く、気付いた時にはすでに呼吸困難などの症状が現れていることもあります。
発症部分やステージによって違ってきますが、抗がん剤や、脚の切断など積極的治療を行っても数カ月~1年ほどしか延命できないおそろしい病気です。
早期発見することにより、痛みをなくし寿命を伸ばすこともできます。日頃から全身を触ったり、歩き方などを観察しておきましょう。
グレートピレニーズにおすすめのドッグフード
【全年齢向け】グレートピレニーズにおすすめのドッグフード
モグワン
価格 | ¥4,356(税込)/1.8kg |
対応年齢 | 全年齢 |
主原料 | チキン |
原産国 | イギリス |
モグワンは人間でも食べられる「ヒューマングレード」食材を使用したプレミアムフードです。もともと肉食である犬の食生活を考え、含まれる動物性たんぱく質は50%以上もあります。
高たんぱく低カロリーのチキンとサーモンを主原料にし、犬が消化しにくい穀類を一切使用していません。オメガ3脂肪酸も入っているので毛並みを艶やかに保ちます。
保存料、着色料などの添加物をいっさい使用していないので、安心して与えることができます。
興味のある方は、ぜひお試しください。
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【パピー・老犬向け】グレートピレニーズにおすすめのウェットフード
まだ離乳食を食べている子犬や、歯や顎が弱った高齢犬などはウェットタイプがおすすめです。
カナガン
価格 | ¥3,520/400g×3缶 |
対応年齢 | 全年齢 |
主原料 | チキン |
原産国 | ドイツ |
カナガンは新鮮なチキンの生肉を65%も使用しています。もちろん消化しにくい穀物は使用していません。
人間でも食べられる「ヒューマングレード」食材を使用。手作り食にしたいけれど、栄養のバランスが心配という方にぜひおすすめしたいフードです。
もちろん無添加です。興味のある方は、ぜひお試しください。
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グレートピレニーズのしつけのポイント
- 基本的な服従訓練を徹底する
- 家族全員との信頼関係を築く
- 家族以外の人間に慣れさせる
- 根気よく向き合う
超大型犬のため、しつけをしっかりしないと大事故に繋がります。たとえ甘噛みであっても大けがをさせる力を持っています。成犬になると50kgを超えてくるため、まだ扱いやすい子犬のうちからしつけとトレーニングを徹底します。
服従訓練というと厳しそうなイメージですが、教えるのは「座れ」「待て」「来い」「離せ」などの基本的な命令に確実に従うようにさせることです。どんな状況でも確実に飼い主がコントロールできるようにしなければなりません。
グレートピレニーズが成熟するのは2才頃です。あの巨体でも2才までは子犬の気質なので、根気よくトレーニングを続けましょう。
大きいからといって体罰や厳しく叱ることは信頼関係を失います。できればドッグトレーナーの指導のもと、飼い主も一緒にトレーニングを学ぶとよいでしょう。
グレートピレニーズを飼う前の準備
- 迎え入れる費用について
子犬の相場は20~50万円です。血統によるところが大きく、基本的にブリーダーから直接購入することになります。
その他クレートやケージ、食器、おもちゃ、トイレ、首輪、リードなどの飼育用品。ブラシやシャンプーなどのお手入れ用品などが必要です。
飼育環境を整えるために、絨毯やマットレスを敷いたり、ペットゲートを取り付けたりといった費用も考えておく必要があるでしょう。
大型犬は飼育用品も値段があがるので、準備にかかる費用は、平均よりも高くなります。
- 飼い始めてからかかる費用について
お家に迎え入れて必要になるのが、畜犬登録(3000円前後)と狂犬病の予防接種(3500円前後)、混合ワクチン(5000~8000円前後)になります。
毎年かかる費用は、狂犬病予防注射と混合ワクチンに加え、フィラリア薬7カ月分となります。
フィラリア薬やノミ・ダニ予防の薬は体重によって値段が変わります。特大サイズになるのでその分コストがかかります。
グレートピレニーズの1年間の医療費は最低でも6~7万円かかるでしょう。
シャンプーやトリミングなども1回2万円~、ドッグフードやおやつ、ペットシーツの消耗品などは月に3~4万円ほどかかります。
- どこから迎え入れるのか
グレートピレニーズのような超大型犬をペットショップでみることはありません。基本的にブリーダーからのお迎えになります。
専門犬舎も数が多い方ではないので、希望の子犬に出会うまでは根気よく探すことになります。ブリーダーから迎えるメリットはとても多いので、ぜひ時間をかけて探してみましょう。
- 両親犬やきょうだい犬と合わせてもらえる
- 犬種のスペシャリストであるブリーダーからアドバイスをもらえる
- お迎えしてからも悩みを相談できる
グレートピレニーズの飼い主の本音【飼いやすい?飼いにくい?】
飼いやすいという声
「優しくて従順、とてもおとなしくて飼いやすいです」
「あの巨体で甘えられると、本当に可愛い」
「子どもとも仲良くしています。とても優しい犬です」
「知らない人には警戒するので、頼もしい番犬です」
「大型犬なのに動きがゆっくりで散歩がしやすいです」
「頭がよくて、家族のいう事をとてもよく聞きます」
愛情深く、家族思いのグレートピレニーズは家庭犬として最高の気質をもっています。大型犬は小型犬とは違い、全身をゆだねてくるように甘えます。そこがたまらないという飼い主さんも多いはず。
警戒心の強さで優秀な番犬にもなります。しかし予期せぬ事故につながらないよう、飼い主が犬をしっかりコントロールできるようにしておきましょう。
飼いにくいという声
「大きいのでお世話が大変!シャンプーは1日がかりです」
「全てにおいて、とにかくお金がかかります」
「大量の毛が抜けます。掃除が追いつきません」
「気軽に飼えない犬種。パワーで負けてしまう」
「お散歩だけでもかなり大変、体力がないと飼えない」
「縄張り意識が強くて、よく吠える。しかも声が大きい」
グレートピレニーズの抜け毛の量は、大型犬の中でもトップクラスです。また美しい被毛を保つためのお手入れは欠かせませんし、小型犬とは比べ物にならないくらいのお金もかかりますね。
大型犬への憧れだけでは飼えない犬だと、コメントからもその大変さが伝わります。
グレートピレニーズの可愛い癒し画像集
グレートピレニーズに関するQ&A
【Q1】グレートピレニーズを飼うのに向いているのはどんな人ですか?
大型犬の扱いに慣れている、パワーのある人が向いているでしょう。運動量も多いので体力があって、犬をしっかりコントロールできることが必要です。
生涯にわたってお金がかかるので、犬にかかる費用を惜しまない人。健康を維持するためのケアにも時間を惜しまない人などが向いています。
【Q2】グレートピレニーズのよだれはなぜあんなに多いのですか?
グレートピレニーズはとてもよだれが多い犬種です。食べ物に反応して出るよだれ以外にも、体温調整のために、大量のよだれを出します。
セントバーナードやマスティフなどの大型犬や、パグやブルドックなどの短頭種も同じ理由でよだれが多いです。
首元の毛が変色してしまうこともあるので、バンダナを首に巻いたり、スタイと呼ばれるよだれかけを付けてあげるとよいでしょう。
【Q3】グレートピレニーズの里親になることはできますか?
ネットなどの里親募集から探してみましょう。気に入った子がいたら申し込みをします。
グレートピレニーズはその大きさから、途中から飼えなくなってしまったり、引っ越しなどの理由で手放されたりすることがあります。
そのため、里親になる人には厳しい条件がつくことがあります。子犬とは違い、落ち着いていたり基本的なしつけができていたりする子もいます。
いろいろな事情があって里親を募集していますので、よく話を聞いて二度と悲しい思いをさせない覚悟でお迎えしましょう。